格闘技徒然草

MMAを中心とした格闘技情報&観戦ブログ

★RIZIN171015:総評

現地の観客に無理を強いてまで実現させた生中継のセミとメインが盛り上がった試合になったことで、終わりよければ全てよしとなった。
メインについては試合内容よりも、体重オーバーしたウィンの裁定が気になった。
http://jp.rizinff.com/_ct/17125048

主催者と選手とで協議を行った結果、この試合は通常のトーナメントルールで行われる。つまり、RENAが負けてもノーコンテストとなって救済されるようなことはない。それはRENAが、今回のアンディ・ウィンの体重オーバーを受けて、メインイベンターとして、かつ、RIZINの栄えある第1回目の女子グランプリに泥を塗りたくないと言う責任感から、250gオーバーでの試合を受け入れたため。

主催者サイドが言い出したことをRENAが「受け入れた」ということか。「責任感」と言うが、地上波で生中継されるメインという圧力に逆らって拒否できる方がむしろ大物だと思う。フジや主催者から圧力をかけられたら、一選手が意見を通せるものではない。だから、受け入れたのは別に偉いとは思わなかった。いつも通り(そしておそらく事前に決まっていたルール通り)「RENAが勝った場合のみ公式戦、トーナメントはウィンの失格により勝敗に関わらずRENAの勝ち上がり」で良かったのでは。地上波の意向を優先して、競技としての最低限の体裁を守らないのでは興ざめしてしまう。例えば、この試合でウィンがもし勝っていたとしても「主催者の協議の結果、トーナメントを勝ち上がるのはRENA」と後になってから言い出すことだってありえると思えてしまうからだ。
セミは噛み合っていい試合になった。藤田はパンチでダウンは取られたが、やはり打撃で臆せず向かっていけるというのがあるので、組み付いてのテイクダウンに持ち込みやすかった。一方で、寝技のレベルは低かった。特に天心が下になった時にホールディングするだけで、立ちに行く動きがなかったことにはがっかりした。相手がレスラーならともかく、アマレベル相手にこれでは。
セミ・メインにこうした細かい部分が気になるのは元からのMMAファンくらいで、地上波を見た視聴者は満足しているのではないか。結局、実力に劣る相手をあてがって快勝させて名前を上げるという亀田メソッドは有効ということだろう。亀田自身はキャラクターが不快なので受け入れられなかったが、女子GP全体やKINGレイナについても同じ手段でまあまあ成功している。同様に、天心のいるフライ級も、世界中からそれほど強くない選手を集めて、本当に強い選手は日本人でも省いたトーナメントを実施すれば盛り上がるのでは。ついでにブレイクもかなり早めにすればいい。すでにRIZINに出てしまった日本人フライ級選手についてはいなかったことにする必要があるが。それくらい割り切って通常のMMAとは別物であると打ち出してくれた方が、元からのMMAファンとしては納得が行く。
桜庭 vs. フランクについてはADCCのヘンゾ vs. 菊田のようだったが、それ以上に攻防がなかった。ポイント制のADCCではなくノーポイント・サブオンリールールなのだから、もっとリスクを冒してほしかったところ。フランクが練習していたかどうかも良くわからなかったが、ダンヘンだったらどんな試合になっただろうか。
ウィッキー vs. サワーは後半攻勢のサワーの勝ちかと思ったが、まあRIZINの判定は微差ならどちらに入ってもおかしくないので不満はない。サワーは普通に打撃勝負に行けば良かったのに、1Rは自ら組みに行って、結果寝技で劣勢になっていた。正直MMA適正はあまりないタイプでは。
KINGレイナは急に決まった試合とはいえ、38歳でプロデビュー戦(それも別にアマで試合を積んでいてプロを目指していたとかではない)の相手に苦戦しすぎ。これまでどういう方向性で行きたいのかわからなかったが、試合後のインタビューでは「軽い階級の方が動けて面白い試合ができる」と言っていて、適正階級でやりたい意向がある模様。それがRIZIN的に需要があるかどうかは不明だが。結局RENAと同じで主催者の意向に逆らうことができるとは思えない。今のような女子版ミノワマン路線が続きそう。
川尻は敗れたが今でもフェザー級では日本人最強のはず。その選手があえて適正でない体重に落として敗れてしまう状況に悲しくなった。適正階級でもう一度輝ける舞台を作って欲しい。まず、矢地がクロンとやりたいというなら、川尻とフェザー級で対戦すべき。
バンタム級GPでは、石渡がムサカエフに競り勝った。これまでパンクラスで強豪相手に競った試合をしてきたのが生きた。逆にムサカエフはキャリア不足だった。そういう意味では今このタイミングで呼んでおいて良かったかもしれない。ペッシはこのトーナメントで勝ち上がっていけるかはわからないが、グラップラーでいい選手。アーセンをKOしたケイプは、強豪なのかクレイジーホース枠なのか短すぎて不明。
GP2回戦の組み合わせは、今日18時からフォーチュンボックス形式の抽選(番号を引いた順にトーナメントの好きなブロックに入っていく方式)で行われるとのこと。ワイルドカード枠についてはとりあえず1人のみということなので、これは川尻に勝ったオリベイラだろう。残る一枠は空白のままで行われる。一番やりたがらない相手との試合になるわけだが、一回戦シード扱いなのだから仕方がない。
女子GPは、山本は相変わらず成長が感じられず。もっとも年齢を考えればもう成長を期待する方がおかしいのかもしれないが。リベラは打撃がさっぱりだったので、タックルに行かずに打撃勝負していれば勝てたのでは。リベラは下攻めは良かったが、あの打撃では準決勝のRENAにはボコボコにされる未来しかない。反対ブロックは浅倉 vs. オリベイラ。浅倉に組み勝ったガルシア相手に、序盤テイクダウンを奪われたが後半は打撃で圧倒したオリベイラ。しかし浅倉戦はまずタックルを切れるかどうかか。