格闘技徒然草

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★UFC144:予想と展望(プレリム編)

前座5試合の展望。

フェザー級/5分3R>
田村一聖(日本) 3.30
ヂャン・ティェカン(中国) 1.33

第1試合はイベント開始の10時より早く、9時半に始まるとのことだが、オフィシャルサイトには一切アナウンスなし。オープニングマッチ扱い?北米では前座は会場ガラガラが普通なので、前座の開始時間をいちいちアナウンスする必要がないと思っているのかもしれない。
急遽出場が決まった田村一聖。噂レベルだが、他にも何人かの選手にオファーがかかり、決まらなかったためにチャンスが回ってきた模様。地元開催の代役出場でなければ、UFCのマットを踏むチャンスはなかっただろう。修斗では新人王トーナメントを制し、MVPも獲得したが、判定が多い漬け込み型ファイター。唯一の一本・KO勝ちは、昨年8月のトイカツ戦。
対する中国人ファイターのティェカンは、一言で言うと中国版The ギロチンとも言うべきギロチン馬鹿。UFC/WECで挙げた2勝は、いずれも1Rギロチンによる一本勝ちで、前回敗れたダレン・エルキンス戦でも、ひたすらタックルにギロチンを合わせていった。しかしながら、ギロチンを凌がれてポジションを悪くしたことが原因で判定負けしている。WEC以前の戦績を見ると、一本勝ちは多いが特にギロチンでの勝ちが多いわけではない。UFCで2度ギロチン勝利をあげたことで味をしめたのだろうか。
その分、スタンドレスリングのスキルには疑問が残る。一応、オフィシャルのテイクダウンディフェンスは83%となっているが。テイクダウンからの押さえ込みが主武器の田村にとっては相性がいい相手。しかし……そもそも相性云々が言えるほど、実力が拮抗しているのか?UFCは前座選手でも、ローカルイベントではトップを張っていた選手が揃っている。そんな中で5割の成績を残しているのだから、弱いわけがない。分かりやすく言うなら、田村に勝った土屋→をKOしたリオン→を下した高谷→をKOしている小見川が負け越しているのがUFCの前座。それに田村には金網の経験も準備期間もない。
田村にとっては厳しい試合となるだろうが、見る側にとっては「UFCの厳しい舞台に挑戦する日本人」として、応援のしがいがある。今回、地元に配慮したのか、わりと日本人が勝てそうなマッチメークが多い。そんな中、アンダードッグの田村が番狂わせを起こせば会場も盛り上がるだろう。UFCの醍醐味は「世界最高峰の選手同士の戦い」ではあるが、日本人絡みの試合は本場の流儀にならって地元選手を熱烈に応援したい。

バンタム級/5分3R>
水垣偉弥(日本) 1.50
クリス・カリアソ(米国) 2.60

負け勝ちを繰り返し、現在4勝4敗の水垣。一方のカリアソも、勝・負・勝・負・勝と交互に勝ち負けを繰り返していて、現在3勝2敗。しかし、水垣の負けはタイトル戦だったり王者経験者との対戦だったり、トップクラス相手の負けなので、前座オンリーのカリアソとは内容が違う。その割にオッズは接近しているが…。
カリアソの試合はあまり見ていないが、どちらかと言えばグラップラー。打撃もレスリングもそこそこできるが突出しているわけでもない。水垣が冷静にタックルを切ってスタンドをキープし、打撃で試合を優勢に進め、初の連勝をあげるか。

<ミドル級/5分3R>
福田力(日本) 1.40
スティーブ・カントウェル(米国) 2.95

福田は実質勝っていた昨年2月のオーストラリアでの試合から364日ぶりの復帰戦。8月に予定されていたUFC2戦目は交通事故で欠場することになった。入院するなどけっこう大きいケガだったようだが、試合に向けてのトレーニングは十分できている模様。
対するカントウェルは、元WECライトヘビー級王者だったが、UFCでは通用せず3連敗を喫する。ミドルに落とした前回も敗れて現在4連敗中。4連敗で試合が組まれるのはUFCでは異例中の異例。その戦績がオッズにも反映されているのだと思うが、両者の実力を比較する材料もない。カントウェルはレスリングのキャリアはないが、テイクダウンディフェンスのスキルは割りと高く、柔術黒帯で下からも攻められる。福田にとっては決して楽ではない相手。
打撃でどちらが上回るかが勝負の分かれ目になる。予想は福田の判定勝ち。

バンタム級/5分3R>
山本KID徳郁(日本) 1.25
ヴァグハン・リー(英国) 4.00

UFC2戦2敗のKIDと1戦1敗のリーだが、リーに勝っているカリアソ vs. WECでタイトルにも挑戦している水垣より後の試合順。リーにしても、イギリス大会のご当地選手としてUFCに上がれたレベルの選手であり、この試合が一番日本人選手への配慮が感じられるマッチメークになっている。
しかし、1戦1敗のリーが相手でも、KIDに対する接待マッチではなく実力的に釣り合っているように見えてしまうくらい、今のKIDからは強さを感じない。オッズでは岡見 vs. ブティッシュと並び、今大会一番の差がついているが。
全盛期に身体能力頼みで戦ってきたKIDの場合、加齢と膝靭帯損傷の影響がそのまま実力に反映されてしまっている。UFCデビュー戦で敗れた後、KIDはグラウンドを強化したと言っていたが、前回のウエノヤマ戦ではその成果は全く見られなかった。もはや新しいスタイルや武器に期待できる年齢じゃない。今までのスタイルで、どれだけ全盛期に近い動きが出来るかにかかっている。
リーはアグレッシブだが、打撃もタックルもそれほど強くはない。スタイルも相性も関係なく、KID自身がどれだけ動けるかという、その一点だけが問題。
期待も込めて、KIDのKO勝ち。

<ライト級/5分3R>
五味隆典(日本) 1.44
光岡映二(日本) 2.75

当初はメインカードだったが前座最終試合に格下げ。WOWOWでは当日11時からUFC直前番組を放送するが、過去のVを流すより、この試合を放送して欲しい。
UFCでは、UFC-JのUFCジャパンミドル級王者決定トーナメントを除き、日本人対決が実現するのは初めて。連敗で完全に底が見えてしまった五味だが、日本人ライト級での序列がどのあたりなのかは良くわからない。UFCで勝てないのは周りのレベルが高いからなのか、五味が衰えたのか。その測定をするには最適の試合となる。やはりこの試合だけは、今回のイベントの中で異質。
五味は当初のジョージ・ソティロポロス戦だったら、グラウンドに持ち込まれて何も出来ないような、悲惨な試合になる想像しか浮かんで来なかったので、相手が光岡になったのは幸いかもしれない。負けるにしても、実力は出し切れるはず。また、北岡以外の日本人には負けたことがないだけに、 vs. 日本人の方が燃えるのでは。
一方の光岡は、良くも悪くも安定している。最近はトップ選手相手の対戦では勝てていないが、格下に星を落とすこともない。五味との比較で言えば、五味に判定勝ちしたセルゲイ・ゴリアエフに一本勝ちしているが、五味が元キックボクサーのゴリアエフに打撃勝負を挑んだがゆえの敗戦のため、あまり参考にはならない。
UFCでは唯一勝ったタイグリ戦以外、撃ち負けたり空回りしていた五味の打撃が、光岡相手にどれだけ通用するかがポイント。
組み付いてくる光岡に苦戦しながらも五味の判定勝ちと予想。