格闘技徒然草

MMAを中心とした格闘技情報&観戦ブログ

UFC on ESPN52:メインイベント・ベニール・ダリウシュ vs. アルマン・ツァルキヤン

ライト級5分5R。ダリウシュ4位、ツァルキャン8位。

2018年から4年間、8連勝で負けなしだったダリウシュ。地味なファイトスタイルのため、なかなかチャンスが与えられなかったが、前回ようやく元王者でランキング1位のチャールズ・オリベイラ戦が組まれる。勝てば王座挑戦は確実だったが、スタンドでパンチを効かされ、タックルを切られて下になったところでオリベイラのパウンドラッシュをもらって1RKO負け。再び実績の積み直しとなった。当初はグラップラーだったが、連勝していく中で打撃の威力が増してきていて、今では打撃も武器となっている。34歳。

ツァルキヤンもまた、UFC7勝2敗とハイアベレージながら、なかなか上位と当ててもらえていない選手。22歳でのUFCデビュー戦が、当時はUFC5勝1敗ながらまだノーランカーだった現王者のマカチェフで、あのマカチェフからテイクダウンを奪うなど、今となっては最もマカチェフを追い込んだ選手の一人。もう一敗の相手はマテウス・ガムロットで、激しいスクランブル合戦から、4Rにパンチでダウンを奪ったが、後半逆にタックルからバックを取られる場面が多く判定負け。しかし、メディアのジャッジは割れたもののツァルキヤン支持が多い接戦だった。27歳。

両者ともに地味なグラップリングが武器で、戦績の割にチャンスが与えられていない者同士の対戦。ツァルキヤンが敗れているガムロットは、次戦でダリウシュと対戦しており、2R以降はタックルを切る展開で判定勝ちしている。前回はオリベイラ相手にフェイバリットだったダリウシュだが、今回はアンダードッグ。前回の負けで評価が落ちた部分もあるかもしれないが。

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UFC on ESPN52:セミファイナル・ジェイリン・ターナー vs. ボビー・グリーン

ライト級。ターナー12位、グリーン13位。

当初はダン・フッカーとグリーンがセミにも関わらず5Rマッチで対戦予定だったが、試合10日前にフッカーが負傷欠場となり欠場。代役としてターナーが緊急参戦するが、通常の3Rマッチに変更となっている。

緊急出場で下位ランカーと対戦するターナー。昨年まで5連勝してランキング入りしたが、今年はマテウス・ガムロットとダン・フッカーに連続スプリット判定負けで、勝ち星がないまま年越しとなるところだった。ガムロット戦は前半ターナー、後半はテイクダウンを取られてガムロット優勢の僅差の試合で、フッカー戦も打撃で互角の展開だったが、3Rにグラウンドで下になったのが響いて判定負け。ライト級で195cmのリーチを誇り、急な代役としては嫌な相手。MMAを始める前はプロのスケートボーダーだった。28歳。

グリーンは中堅以上ランカー未満のポジションだったが、前回無敗でUFC8連勝中のグラント・ドーソンと対戦すると、1Rに左でダウンを奪ってパウンドでKO勝ち。ビッグアップセットで37歳にしてランキング入りを果たした。バックボーンはレスリングだが、ノーガードからのトリッキーなパンチが武器。こちらもまた特異なスタイルで、準備期間なしでは戦いたくないであろう相手。37歳。

オッズは緊急出場のターナーがフェイバリット。

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UFC on ESPN52:第10試合・ロブ・フォント vs. デイブソン・フィゲイレード

バンタム級。フォント8位、フィゲイレードはフライ級の2位。

4連勝でトップ5ランカーとなったフォントだが、その後はアルド・ヴェラ・サンドヘイゲンに敗れて1勝3敗。UFCバンタム級2位の6KOだが、アルドとヴェラには打撃で劣勢になっての負け。前回のサンドヘイゲン戦では、サンドヘイゲンに5Rすべてでテイクダウンされる展開でフルマークの判定負け。182cmとバンタム級では長いリーチを持つ。36歳。

前フライ級王者フィゲイレードは、フライ級ではブランドン・モレノと4回連続タイトルマッチで対戦(モレノは途中カラフランス戦を挟んでいるが)。モレノ以外の相手との対戦は3年ぶりとなる。デビューからずっとフライ級だったが、ベナビデスとの王座決定戦で体重超過したこともあり、減量には苦戦することが多く、前戦でモレノに敗れた時点で階級転向を示唆していた(その割には、今回の試合の前にはマネル・ケイプとのフライ級での試合のオファーを受けている)。身長165cmはバンタム級に入ると最小で、フライ級にこだわっていたのは体格差の問題もあったかもしれない。フライ級最多のノックダウン数を持つハードパンチャー。フォントより1歳年下の35歳だが、フライ級では2番目に年長だった。年齢的にもバンタム級で王座を目指すためには一つも星を落とせない。

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UFC on ESPN52:第9試合・ショーン・ブレイディ vs. ケルヴィン・ガステラム

ウェルター級。ブレイディ9位、ガステラムはミドル級の11位。

ブレイディは無敗でUFCと契約すると、UFCでも5連勝し、前戦ではトップ5ランカーのベラル・ムハマドと対戦。しかし、それまでテイクダウンからグラウンドに持ち込む展開で勝ってきたのが、ムハマドにはテイクダウンをすべて切られ、2Rに打撃のラッシュを打ち込まれてKO負けでMMA初黒星を喫した。その後、3月と7月の試合を欠場し、1年2ヶ月ぶりの復帰戦となる。得意技はギロチン。31歳。

ガステラムは8年ぶりにウェルター級に落としての試合となる。身長175cmはウェルター級でも小柄で、TUFで優勝して以降はミドルからウェルター級に落としていたが、度重なる計量失敗で、半ば強制的に階級転向。ミドルではアデサニヤとの暫定王座決定戦まで進んだが、事あるごとにウェルター級に戻したいとアピールしていた。すべて上位ランカーが相手とはいえ、直近7戦では2勝5敗と大きく負け越している。やはりミドル級では、リーチ差のある相手に距離を取られて負けるパターンが多かった。史上最年少でTUFを制してから今年で10年となる32歳。

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UFC on ESPN52:第8試合・クレイ・グイダ vs. ジョアキム・シウバ

ライト級。

レジェンドで殿堂入りファイターのグイダ。勝ったり負けたり負けたりで、もう6年間連勝がない。一方で、キャリアで3連敗もない。徐々に相手のレベルが下がり、現在は中堅から前座クラスとの対戦がほとんど。ひたすら動き続けるアグレッシブファイターだが、さすがに若い頃のような無尽蔵のスタミナはなくなってきている。前戦はUFC3勝3敗の中堅未満・ラファ・ガルシア相手に飛び込んでパンチを入れるところにカウンターをもらう展開でフルマークの判定負けの完敗。来週誕生日を迎えると42歳となる、ライト級最年長ファイター。

シウバはローカル時代は全試合1Rフィニッシュで7連勝し、TUFブラジル4(準決勝敗退)を経てUFCと契約。UFCデビューから3連勝したが、2018年から6年で6戦して2勝4敗。UFCでは重いパンチを武器にしているが、打撃のディフェンスが甘く、3敗のうち2敗がKO負け。柔術も黒帯だが、UFCでは組みの強さを見せられていない。前戦は相手が欠場したランカーのアルマン・ツァルキヤンと対戦するチャンスを得たが、パンチを効かせた場面はあったものの、テイクダウンから削られる展開で、3RにパウンドアウトでKO負け。郷野がブラジルに在住していた際には、同じアンドレ・ベンケイに師事しており、親友だった。34歳。

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UFC on ESPN52:第7試合・プナヘレ・ソリアーノ vs. ダスティン・シュトルツフス

ミドル級。

ハワイアンのソリアーノはUFC3勝3敗。ローカルでは全試合1Rフィニッシュ。コンテンダーシリーズの試合のみ判定勝ちだったが、UFCでの3勝もすべてフィニッシュ勝利(うち1RKOが2回)。しかし前戦はロシアのロマン・コプィロフに強打で攻めたものの、失速し初のKO負けを喫した。レスリングと柔道でハワイの高校州王者になっている。同じハワイ出身で現在もエクストリーム・クートゥアの同門・ダン・イゲに誘われてMMAを始めた。31歳。

シュトルツフスはドイツ系アメリカ人。幼少からレスリング・タンスードーなどを学び、ルタ・リーブリと柔術で黒帯を取得。大学時代にドイツに留学し、現在もドイツ在住。コンテンダーシリーズでは、現在UFC3連勝で次にランカーと対戦する女ー・パイファーを1Rに投げた際に右肘を脱臼させてのアクシデント的なTKO勝ち。が、UFC本戦ではカイル・ドーカス、ホドウフォ・ヴィエラ、ジェラルド・マーシャートに3連敗。UFC3勝4敗のドワイト・グラントにはテイクダウンからの押さえ込みで判定勝ちしたが、前戦はロシアのアブス・マゴメドフに前蹴りを効かされ、パンチ連打でダウン→パウンドでわずか19秒でのKO負け。メインカードに組まれているものの、負けて1勝5敗になったらリリースだろう。32歳。

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UFC on ESPN52:第6試合・ミーシャ・テイト vs. ジュリア・アビラ

女子バンタム級。テイト12位、アビラ13位。

レジェンドで元王者のテイトは一度は引退したものの、2021年に4年半ぶりにカムバック。初戦は4連敗中のマリオン・ルノーにパウンドでKO勝ちして勝利したものの、2戦目はメインでケトレン・ヴィエラと対戦し、終始打撃のヒット数が五分の僅差の内容だったものの判定負け。そこでフライ級に階級を落とした。初戦でいきなり3位のローレン・マーフィーと対戦したが、タックルをすべて切られる展開で、逆にテイクダウンを奪われ判定負け。フライ級転向は失敗だったと語り、ダメージからの回復のためにしばらく欠場しており、1年5ヶ月ぶりの試合となる。復帰戦からここまではタイトルを目指して試合をしていたが、今は引退が近くなっていることを認めながらも、最後まで戦い続けることがモチベーションとなっている。37歳。

アビラは2年半ぶりの復帰戦。予定されていた試合を負傷欠場した後、昨年10月に娘を出産したが、一時は90kg以上に増量してしまったとのこと。欠場前はシジェラー・ユーバンクスに敗れたのみで3勝1敗。高校時代は格闘技とは無縁で、バスケ・サッカー・陸上などをしており、大学卒業後にMMAのトレーニングを開始した。オッズではアビラがフェイバリット。35歳。

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UFC on ESPN52:第5試合・ザック・リース vs. コーディ・ブランデージ

ミドル級。

8月のコンテンダーシリーズで勝ってUFCデビューとなるリース。一昨年にプロデビューし、ここまで全6試合で1Rフィニッシュ勝利。2分を超えたのも1試合しかない。コンテンダーシリーズでは前蹴りをキャッチされて下になったが、ガードからの腕十字で一本勝ち。しかし、打撃で圧倒して勝った試合も、相手の戦績が微妙で、試合内容でも露骨に差があったように見え、UFCでどれだけできるかはまだ判断がつかない。地元テキサスでのデビュー戦となる。29歳。

リースの実力を測る物差し役を務めるのはUFC3勝4敗のブランデージ。UFCデビュー戦で判定負けした後、ギロチンとパウンドで2試合連続1Rフィニッシュしたが、その後はオレクシェイチュク、ホドウフォ・ヴィエラ、セドルケス・ドゥマスに3連敗。後がなくなった前戦は、試合半月前に代役としてロバート・ウィテカーのスパーリングパートナーでもあるジェイコブ・マルクーンと対戦。マルクーンにタックルからバックを取られてパウンドを打ち込まれる展開だったが、肘が後頭部に入ったことで戦闘不能となり反則勝ちで首の皮一枚繋がった。しかし内容では圧倒されており、UFCでは底辺レベル。嫁は元UFCのアマンダ・クーパーで、ブランデージがMMAを始めた時からのコーチでもある。29歳。

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UFC on ESPN52:第4試合・ドラッカー・クロース vs. ジョー・ソレッキ

ライト級。

クロースはUFC7勝2敗。負けた相手はデイヴィッド・ティーマーと、メインに登場するベニール・ダリウシュ。ダリウシュ戦はパンチをヒットさせてダリウシュを下がらせたが、追って出たところにカウンターを効かされ、追い打ちのパンチでKO負けした。セミに登場するボビー・グリーンには5年前に判定勝ちしている。バックボーンはレスリング。UFCでの7勝のうち、1試合のみKOで、あとは判定勝ちの手堅いスタイル。膝前十字靭帯の損傷で1年4ヶ月ぶりの試合となる。戦績はハイアベレージだが、35歳と若くないだけに、早くランキングまで駆け上がりたいところ。

ソレッキもUFC5勝1敗の高成績。極めの強いグラップラー。6歳から始めた柔術は黒帯。13勝中8つの一本勝ちがあるグラップラーで、そのうち7つがRNCでの勝利。負けた相手はジャレッド・ゴードンで、1Rはテイクダウンからグラウンドに持ち込み圧倒したが、2R以降スタミナが切れ、テイクダウンも奪えなくなってのスプリット判定負け。

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UFC on ESPN52:第3試合・ホドルフォ・ベラト vs. イーホル・ポティエリア

ライトヘビー級。

ベラトは10月3日のコンテンダーシリーズで勝利してから2ヶ月でのUFCデビュー。昨年のコンテンダーシリーズでは、ローカル時代にも対戦しKO負けしているビトー・ペトリーノ(現在UFC3連勝中)に2RKO負けしたが、今年は2RKO勝ちでUFCと契約。キャリアで負けた相手はペトリーノのみで、11勝中6KO・4一本勝ち。柔術茶帯の27歳。

ウクライナのポティエリアはUFC1勝2敗で、勝った試合は今年1月のマウリシオ・ショーグン引退試合。打たれ弱くなっているショーグンを無慈悲に1RKOした。しかしそれ以外の2戦はいずれもスタンドの打撃をもらい、頭を抱えてしまって滅多打ちにされてのKO負け。27歳。

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UFC on ESPN52:第2試合・ウェリントン・トゥルマン vs. ジャレッド・グッデン

ウェルター級。

トゥルマンはUFCミドル級で3勝4敗と負け越した後、6月の前戦からウェルターに階級転向。初戦はUFC10勝5敗のランディ・ブラウン相手に打撃で距離を取られ、組んでもケージに押し込まれて何もできず、逃げ切りを狙うブラウン相手に3Rもテイクダウンを奪えずに判定負け。グローバーテイシェイラテイシェイラMMA所属で、ライトヘビー級王者アレックス・ペレイラがセコンドについている。27歳。

グッデンは一昨年UFC1勝3敗でリリースされ、ローカルイベントで戦績を重ねていたところ、今年3月にアブバカル・ヌルマゴメドフが3日前に欠場したことで緊急UFC再契約を果たした。が、減量が間に合わず6ポンドの大幅オーバー(3日前では仕方がないが、最初からキャッチウェイトにするべきでは)。しかしカールストン・ハリス相手に早々にスタミナが切れ、テイクダウンを取られて完敗。唯一の勝利はUFC未勝利のままリリースされたニクラス・シュトルツェ戦で、1Rに右一発でのKO勝ち。しかしガードを下げた構えの割に頭の位置が変わらないため、打撃のディフェンスに難がある。29歳。

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UFC on ESPN52:第1試合・ヴェロニカ・ハーディー vs. ジェイミー・リン・ホース

女子フライ級。

ダン・ハーディの嫁ヴェロニカ。結婚前、旧姓のマセドでUFC1勝4敗の戦績を残したが、脳のダメージにより引退していた。引退後はUFC中継スタッフとして働いており、コメンテーターをしていたハーディと知り合って昨年12月に結婚。今年1月に、復帰と3月のロンドン大会出場が発表された。仮に復帰するにしても、ローカルでの実績作りなしでUFCに戻ってこられるレベルではないため、明らかなコネ出場と思われたが、TUFウィナーのジュリアナ・ミラー相手に打撃で上回り、テイクダウンも潰して完勝。が、ミラーは次戦でもUFCデビュー戦の相手に1RKO負けしてリリースされているので、ハーディのUFCでのレベル自体はまだ不明。28歳。

カナダのホースはLFA女子フライ級王者から今年4月にUFCデビュー。同じくデビュー戦となるヘイリー・カワンとバンタム級で対戦。本来の階級より上の相手との対戦となったが、テイクダウンされ下になる場面はあったものの、打撃の手数で上回り、僅差の判定勝ち。ここまでキャリア6戦全勝。今回は本来のフライ級での試合となる。33歳。

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