格闘技徒然草

MMAを中心とした格闘技情報&観戦ブログ

★総合格闘技のリングに上がったボクシング世界王者たち

UFCがボクシング3階級王者のジェームズ・トニーと契約
http://www.ufcjapan.jp/news_detail.php?nid=785&ym=201003
少し古いニュースだが、三階級制覇を果たしたボクシング王者がUFCと契約。41歳でのMMAデビューで、しかも世界最高峰のUFCのリングであることを考えると、とても活躍は望めない。アンデウソンとのボクシングマッチが実現したら面白そうだが。
この機会に、過去に総合格闘技のリングに上がったボクシング世界王者を振り返ってみたいと思う。ただし、西島洋介マイク・ベルナルドWBF王座など、あまりマイナーな団体まで入れると切りがないので、世界4大メジャー(WBAWBCIBFWBO)の王者のみを対象とする。また、原則として総合ルールとは程遠い「異種格闘技戦」は除く。
ジェームス・ワーリング
IBF世界クルーザー級王者。ボクシングをする前はキックボクサーで、当時アメリカで最もメジャーだったWKAの世界タイトルも取っている。過去、Uインター異種格闘技戦の出場選手として呼ばれている。また、のちにK-1のリングにも上がった。
総合のデビュー戦は、ヘンゾ・グレイシーのワールドデビューとなった1995年のイベント「WCC(ワールド・コンバット・チャンピオンシップ)」。北米での金網格闘技大会・PPV実施という、UFCを模倣した初のイベント。大富豪の格闘技好きが始めたという、最近よくあるパターンのパイオニアでもある。
このイベントの目玉の一つとして、「ボクシング世界王者」ジェームス・ワーリングの参戦が挙げられていた(他に、初の柔道オリンピックメダリストの出場という話題もあった)。ただし、このイベントは「ストライカーブロック」と「グラップラーブロック」それぞれ4人ずつのトーナメントに分かれて行われ、ワーリングが出場したストライカーブロックでは、関節技・絞め技の使用が禁止されていた。当時、ストライカーはバーリ・トゥードではすぐにテイクダウンされて何も出来ず極められていたため、少しでも持ち味が出せるようにという配慮だった(なぜか膝十字固めが得意技の修斗ライトヘビー級王者エリック・パーソンもストライカーブロックに入れられていた)。
そのルールもあって、ワーリングは髪をつかんで殴るなど、およそボクシング世界王者とは言えないようなテクニックで決勝まで勝ち上がり、ヘンゾと対戦。決勝は通常のVTルールで、これが世界初のボクシング世界王者VTマッチということになる。当時36歳。当然ながらワーリングはグラウンドの練習などしておらず(関節技なしのブロックだっただけに余計に必要なかった)、テイクダウンからのチョークで簡単に敗れている。
ビクトル・ラバナレス
WBC世界バンタム級王者。あの辰吉に初黒星をつけた選手として有名。2001年にDEEPのリングで村浜武洋と対戦している。当時39歳。ただし、この試合は純粋な総合格闘技ルールではない。ラバナレスがボクシング以外全く経験していないため、ロープエスケープが5回まで認められる特別ルールとして行われた。しかしそんなハンデは全く意味をなさず、わずか40秒で膝十字固めを極められて敗北している。
イマム・メイフィールド
IBF世界クルーザー級王者。2003年に伝説の猪木祭りで藤田と対戦。直前までレイ・マーサーが出場することになっていたが、試合前日にメイフィールドに変更になった。
藤田戦も純粋な総合ルールではない。グラウンドが全くできないメイフィールドに配慮し、グラウンド20秒の特別ルールで行われた。その特別ルールのため1Rはなんとか逃げ延びたものの、2Rにスタンドでの肩固めを決められてタップ負けした。
フランソワ・ボタ
IBF世界ヘビー級王者。2004年のDynamite!!でプロデビュー戦となる秋山成勲と対戦している。当時36歳。この試合も特別ルールで、1回のロープエスケープが認められていたが、1R1分54秒腕十字であっさり敗れた。
レイ・マーサー
WBO世界ヘビー級王者。2009年のアドレナリンで、元UFCヘビー級王者のティム・シルビアをわずか9秒でKOし、悲願のボクシング世界王者MMA初勝利を飾っている。当時47歳。これ以前に2007年にもキンボ・スライスと総合ルールで対戦しているが、これはエキシビジョン扱いとなっている(ギロチンチョークで敗戦)。
抜けもあると思うが、現在のところはこの5人。今後デビューが予定されている選手としては、
ヨックタイ・シスオー
WBA世界ジュニアバンタム級王者。ムエタイの王者からボクシングに転向。日本では飯田覚士らと激闘を繰り広げた。現在日本在住で、3/7に修斗のリングで総合デビューする予定だったが、ケガのため流れている。現在34歳。ただし、あくまでご当地選手としての出場だったため、今後また総合マッチに出場することになるかどうかは微妙。
リカルド・マヨルガ
WBA世界ウェルター級王者・WBC世界スーパーウェルター級王者。2階級制覇を果たし、オスカー・デラ・ホーヤとも対戦した。知名度ではMMA参戦選手の中で群を抜く。現在36歳。今年、アメリカのShine Fightsでデビューが予定されている。
この他では、WBO世界ヘビー級王者のトミー・モリソンが2007年に試合をしている。ただし、グラウンドでの打撃やスタンドでの蹴り・肘・膝蹴りも禁止されたルールだったとのことで、公式記録としては残っていない。