http://gbring.com/sokuho/news/2012_06/0601_pancrase.htm
一つめは、「パンクラスマネージメント」部門の開設。キング・オブ・パンクラシストと上位ランカーの世界進出に向けたプロモーション機関で、通訳やカンセリング及びスポンサー広報窓口としての機能を持つ。
二つめは、「パンクラスUSA支部の設置」。選手の米国滞在時のトレーニング環境や生活環境・長期滞在時のバックアップ、インフラを強化し、選 手の世界進出のサポートをする。
三つめは、「海外ジムとの連携」。交流戦を含め総合的なレベルアップを目指す。新設されたキング・オブ・パンクラシスト委員会の委員長に就任したケン・シャムロックの推薦する選手との対抗戦なども視野に入れる。
四つめは、「ケージリングの導入」。世界のMMA標準であるケージリングを、2013年から一部大会で導入する。ケージ特有の戦法や戦略を日常 的に収得させる事を目的とする。ケージ導入について酒井代表は、「来年3回ぐらいはやってみたい。オリジナルのケージを作ることも視野に入れた い。周囲と協議して考えたい」と語った。
- パンクラス代表:酒井正和
- パンクラス統括本部長:坂本靖
- エグゼクティブプレイングマネージャー:川村亮
- JML統括プロデューサー:梅木良則
- イベント統括マネージャー:島田裕二
- スーパーバイザー:佐伯繁
- キング・オブ・パンクラシスト委員長:ケン・シャムロック
ここ1、2年、国内で地道にやってきて、力をつけつつあるかに見えていたパンクラスだが、ドンキが経営権を譲渡したことにより身売りに。
ドンキはスポンサーとして残る。パンクラスに限らず、格闘技イベントにつくスポンサーは、支払う金額に見合った宣伝効果が得られているわけではなく、ほとんどタニマチ的なもの。見返りを期待しているわけではない。にも拘らず経営権を譲渡したということは、スリム経営で好調に見えた団体運営も、実際には赤字の方が多かったということだろう。
新たに経営権を取得した酒井氏はどうか。選手派遣はともかく、海外支部や海外ジムとの交流は、うまく成功すれば良いが、かかる資金に見合ったリターンが望めるのか。
ケージについても不安要素が多い。たしかに、海外挑戦した日本人選手の結果を見ると、ケージでの経験は不可欠ではある。しかし、DEEP同様不定期にしかやらないのであれば、結局はアマチュアから金網でやっている北米の選手には追いつけないだろう。リングより経費がかかる上に、少なくとも短期間での効果は望めない。
そして突然の初代KOPケンシャムのKOP委員長就任。まあ、古代の王朝簒奪者が、血統だけ正当な王族を連れてきて傀儡政権を作るようなもので、あまりにもパンクラス色がない酒井・佐伯・島田といったメンツが牛耳るようになるイメージを和らげるための起用か。今のケンシャムがまともにMMAに向き合っているのかも不明だし、下手に口出しするよりお飾りでいてくれた方がいいかもしれないが。
全体として、成功すればたしかにパンクラスにとっても格闘技界にとってもプラスの話ではある。しかし、どれも「わしが考えた理想のMMAプロモーション」であり、それがパンクラスでなければならない必然性は薄い。一から格闘技団体を立ち上げるより、選手が揃っていて手間がかからないから買っただけのように見えてしまう。
ただでさえ、単なる一総合格闘技団体になりつつあったパンクラス。パンクラスがパンクラスであることを示すことができるのは、もう一部の選手だけかもしれない。