格闘技徒然草

MMAを中心とした格闘技情報&観戦ブログ

★UFC JAPAN2013感想

今さらながら、自分用の備忘録として昨日のUFC日本大会の感想をあげておきます。まだ会場で見たのみで、映像は見返してません。

第1試合 マルセロ・ギマラエス vs. イム・ヒョンギュ

「名前が怪獣っぽいUFCファイター」第1位のギマラエスUFCデビュー戦ではテイクダウンを狙うも奪えずに金網に押し込んでのコツコツパンチで判定勝ちで、どんな選手かわからなかった。
スタンドではギマラエスのいいパンチが入っていたが、気が強いヒョンギュが打ち返してくるとタックル。やはりテイクダウンはへたくそで簡単に切られる。が、蹴りのタイミングでタックルに入り、ついに念願のグラウンドに。しかし、そこで見せたのが体を起こさないコツコツパンチでずっこける。打撃戦は避ける、テイクダウンは下手でグラウンドではレイ&プレイしかしないって、じゃあ一体何が得意なんだ…。
2Rにヒュンギュの打撃が入りだし、タックルに合わせたカウンターの膝でKO。しかし相手がギマラエスだとどれくらい評価していいかわからず。

第2試合 アレックス・カサレス vs. カン・ギョンホ

この試合はちゃんと見られていないが、けっこうギョンホが健闘しているように見えた。戦極でオープニングファイトに出て負けていたギョンホがなぜUFCなのかわからなかったが、あの時とは比べ物にならないほど成長している。手塚が完敗した相手にスプリット判定なのだからすごい。よく考えたら手塚もスプリットだったが。

第3試合 クリスチアーノ・マルセロ vs. 徳留一樹

序盤、マルセロのパンチにまっすぐ下がってもらってしまう徳留。明らかに動きが固い。しかし、そこで萎縮せずに打ち返す。マルセロがハイキック失敗で下になると得意のパウンドに。この状態で、マルセロの下からのプレッシャーがもっと強いかと思ったが、徳留がパウンドを落とせている。2,3Rは自分からテイクダウンを奪ってパウンド。1Rは微妙だったが3者ともフルマークで徳留勝利。
マルセロが意外と大したことなかった。ご当地枠での出場だが、勝てて次に繋げられた徳留。頂点ははるかな高みにあるが、まだまだ伸びしろがあるので頑張って貰いたい。

第4試合 水垣偉弥 vs. ブライアン・キャラウェイ

1R、スタンドで打撃を当てていたものの、バックを取られてピンチな場面もあった水垣。2Rにはパンチを貰ってバックからのチョークで追い込まれる。3Rは逆にダウンを奪い返し取り返した。
判定スプリットで水垣。1Rは確かに僅差ではあったけど、いつもなら判断が割れるような内容ではなかったので意外だった。マカオに続いて号泣する水垣。ついにUFC初の連勝。しかしランク外の選手相手にちょっと苦戦しすぎかなと思ったのも事実。

第5試合 ブラッド・タヴァレス vs. 福田力

「よく憶えてねえな〜。あるだろ興行の中でひとつやふたつ。全く記憶に残ってねー試合っつーのが。タヴァレス vs. アーロン・シンプソンとかタヴァレス vs. ヤン・ドンイとかタヴァレス vs. トム・ワトソンとか…。あんな感じの試合だったぜ。」
ただひとつ憶えてることは、福田が1,2Rテイクダウンも出来ず打撃でも打ち負けているのに、3R無策で同じ戦法を続けていたこと。別の戦法を仕掛けたくても引き出しがないのかもしれないが。日本だと打撃で勝負出来て、そこで打ち勝てなくても押さえ込んで勝てていた福田だが、UFCだと中堅レベルが相手でも通用しなくなってしまうので厳しい。

第6試合 キム・ドンヒョン vs. シアー・バハドゥルザダ

この試合からメインカード。まず煽りVが流れ、その後FuelTVやWOWOWでは中継陣のダベリが入るのだが、その映像は会場には流れず。その間10分ほど会場のファンは放置状態で、煽りVでせっかく上げたテンションがダダ下がりに。
アリーナ席の後ろの方に、スーツを来たお堅い外国人の集団がいて、この試合の時に5人くらい並んでちっちゃい国旗を振っていた。もしかしたら駐日アフガニスタン人のシアー応援団だったのかもしれない。それを見てシアーを応援したくなったのだが、グラウンドがびっくりするほどザルすぎ。テイクダウンされると何も出来ない。3年位前にGloryでの試合をPPVで見た時「こんなにグラウンドできない選手だっけ?」と思ったのだが、全く改善されてなかった。いくら打撃が強くてもこれではUFCでやっていくのは難しい。
ドンヒョンも、マウントを取っても極めきれず、ブーイングが出てきた。それを聞いてモンゴリアンチョップなど見た目派手な技を出して盛り上げようとしたが、結局判定。UFCデビュー戦以来一本・KOから遠ざかっている。ウェルター級戦線で勝ち越しているだけで凄いことだが。

第7試合 廣田瑞人 vs. ハニ・ヤヒーラ

1,2Rはテイクダウンから押さえ込まれ、何もさせてもらえず。劣勢の廣田に廣田コールが飛ぶが、会場に大挙押し寄せたブラジリアン軍団のブーイングに押し負ける。大挙と言っても当然日本人の方がはるかに多いのだが。まあ廣田コールを送っていた人がそれほど多くなかったというのもあるけど、会場全体がブラジリアンのブラジル大会だったらどれくらい凄い歓声になるんだろうか。
3Rになってようやくタックルを切ることができるようになった廣田だが時すでに遅し。ヤヒーラは必死に凌いでタイムアップ。
ここで右手を上げる廣田。「勝ったぞ!」というアピールではなかったかもしれないが、リアクションが違うのでは。誰がどう見ても29-28敗戦案件なんだし、「倒せなかった」と落ち込む所だと思うのだが。
最初から3Rみたいな試合展開になると思ったが、廣田は減量で力が入らなかった模様。

第8試合 岡見勇信 vs. ヘクター・ロンバード

1R、シングルレッグでテイクダウンする岡見。2Rにはマウントまで奪い、パウンド・肘で追い込む。しかし、3Rになって倒しに来たロンバード。パンチをもらいふらつく岡見。アンデウソン戦以降3Rにパンチを効かされることが多くなった。ダメージの蓄積なのか、単純に相手が強いからなのか。タックル→切られて引き込みの流れはいくらダメージが大きくてもちょっといただけなかったが、ロンバードも付き合わずにスタンドを要求すればいいところを、付き合ってくれたおかげで判定まで逃げ切る。両手を挙げて勝利をアピールするロンバード。1,2Rは落としてると思ったがこれもスプリット判定。1Rロンバードに入れたジャッジもいるのか。この日のスプリットは良くわからないものが多かった。
ロンバードはこの負け方だとUFCにとってはちょっと高い買い物だったか。岡見は次は挑戦者決定戦的な試合が見たい。ビスピン戦をアピールしたが以前流れたヴィトー戦でもいい。

第9試合 ディエゴ・サンチェス vs. 五味隆典

スタンドでプレッシャーをかける五味。すでに一発で相手を倒す幻想はなくなってしまったと思ったが、サンチェス相手には通じた。1Rこそテイクダウンを奪われたが、2Rからはテイクダウンも防ぐ。しかし、スタンドのパンチはやや大振りで、サンチェスが的確性で上回っているように見えた。3Rはサンチェスが消極的になり、最後に打ち合いを要求したものの五味が距離を取ってタイムアップ。
自分は1,2Rサンチェス、3R五味に見えたが、細かいパンチのヒットやディフェンスまで見えていたわけではないのでなんとも言えない。しかし僅差であることは間違いない。
セコンドに肩車されて勝利をアピールする五味。この、判定前の勝利アピールの意味がわからない。起源はボクシングやムエタイなんだろうか。勝利アピールを見てジャッジが採点を変えることなどありえないと思うのになぜやるのだろう。何度もダウンを奪ったりして誰がどう見ても圧勝だったりしたらまだわかるが、微妙な試合内容でアピールするということは、判定に自信がないことを認めてしまっているということにならないか。
判定はスプリットでサンチェス。負けたがプレッシャーをかけることは出来ていたし、仮にサンチェスが減量失敗で体調不良だったとしても、秒殺KOしたグリフィン戦を除けばUFC参戦以来もっとも良く戦えていた。次も手が合う相手との試合を組んでほしい。
しかし、この時点で会場は判定試合が8試合続いたことや五味の敗退でフラストレーションが溜まりきった状態に。

セミファイナル ステファン・シュトルーフ vs. マーク・ハント

いかにもメガトンな組み合わせで、期待通りメガトンな試合になった。グラウンドが得意なシュトルーフだが、テイクダウンがうまくないので引き込みが多い。ガードからの極めは十字・三角しかないので読まれる。それでもスイープで上を取り返してチャンスを作る。が、2Rに入り明らかに失速。ハントも消耗していてユーモラスな展開となるが、3Rにアゴを打ち抜きKO!その状態でシュトルーフに戦わせようとするハーブ・ディーンは鬼。シュトルーフが戦えないとアピールしたので実質バーバルタップアウトでの決着。
これでランキング入りが確実になったハント。次は vs. ネルソンorカーウィンが見たい。

メインイベント・ヴァンダレイ・シウバ vs. ブライアン・スタン

日本のファンとブラジルの観客がひとつになってヴァンダレイを応援。かつてのPRIDE時代のようなフックの振り回しスタイルのヴァンダレイと真っ向から打ち合うスタン。シウバがパンチをもらってぐらつきピンチに陥る場面が何度かあったが、そこでスタンがKOを狙って追い討ちをかけると逆転のカウンターを入れるという展開が2度も。正面からの打撃戦でも勝てるとある意味ヴァンダレイを舐めていたスタンも2Rは慎重になるが、そこにヴァンダレイの左右のフックがクリーンヒット!パウンドでKO。
カン・リー戦のような、ピンチに陥ってからの逆転劇。こんなもの、そうそう見られるものではない。

総評

前半戦は事前に予想した際も判定が多くなりそうな気はしていた。危惧した通り判定が続き、内容もいまいちで判定も良くわからないスプリット続きという、重苦しい雰囲気で後半戦に。メイン4カードは日本で人気の選手がアンダードッグだったので、このままではとんでもない鬱興行になるかと心配していたが、セミとメインが救ってくれた。
今回盛り上がったセミとメインはPRIDE・K-1時代の遺産によるもの。仮にスタンやシュトルーフが同じ勝ち方をしてもあそこまでは沸かなかっただろう。UFC自体の魅力を伝えるなら、やはりタイトルマッチを見せてほしいが、今の日本はタイトルマッチを持ってくるほどの価値がないと判断されてしまっているので難しい。
場の演出などは前回と同じくほぼ現地そのまま。綾小路翔原幹恵がオフィシャルサポーターに就任したというニュースがあったが、イベント当日に出てくることはまったくなかった。正しい判断だと思う。ラウンドガールで登場するはずだった手島優が契約手続きが間に合わずに参加できなくなったのも結果としては良かった。事前のマスコミ向け煽りとして出すだけならいいが、会場に金を払って見に来るファンはそういうのは求めていない。
客入りは、A席が早々と売り切れたこともあり、安い席はある程度埋まっていたが、VIPやRSは空席が目立った。西側のRSは、12列あるうち4列を潰している状態だった。前回は久々のUFC日本上陸ということで高い席を買ったが、今回は行っても安い席で見ようというファンが多かったのだろう。日本再上陸を果たした一年前は盛り上がったが、それから日本で行われたMMAのビッグイベントは大晦日のDREAMのみ。MMA自体が日本で地盤沈下している状態なのだから、今回の客入りもむしろ健闘した方なのかもしれない。ただ、このままだと次回があるかどうかはわからないが…。