格闘技徒然草

MMAを中心とした格闘技情報&観戦ブログ

★高田延彦暴露本「泣き虫」を読む

タイトルにこう書いたものの、かなりの斜め読みであるので、内容を正確に捉えていない部分もあるだろうことをあらかじめ断っておきたい。この本は高田延彦著ではなく、スポーツライター金子達仁が取材して書いたものである。高田の幼少時代から、プロレス入り、そしてPRIDEにおける引退試合までが扱われている。
NHBnewsによれば、この本の紹介文は以下の通りかなりセンセーショナルなものである。

敗北の行方は決まっていた・・・?「結果を知らずに戦ったことなんて、一度もなかった・・・」平成の格闘王・高田延彦が初めて明かす、プロレスの真実。将来を約束されたも同然の彼が、プロレス界を飛び出した理由は?PRIDEを立ち 上げた時の、経営者としての苦悩とレスラーとしての限界。アントニオ猪木の後継者と目されていた彼が、プロレス界を飛び出した真相。これまで築き上げてきた全てのものを失うことを覚悟で、全てを語る。

おなじくNHBnewsには、この本に「高山、ZERO−ONEらが嫌悪感を示」し、PRIDEと絶縁。それにともないPRIDEが行うと噂されているプロレス興行W−0が消滅という情報が、週刊ファイトに載っているという。それだけに、なかなか興味深いものがあった。
しかし、結論から言わせてもらえば、そこまでセンセーショナルな内容ではない。たしかに、「プロレスでの試合は結果が全て決められていた」とは書いてあるものの、プロレスの仕組みを事細かに記載した高橋本に比べればはるかに大人しいものだ。勝負の取り決め方を具体的に書いているわけでもなく、「結果が決まっていること」を強調しているわけでもない。逆に言うと、その辺の暴露を期待していた人にとっては期待はずれだろう。しかし、試合を行った(元)レスラーが公に認めるのは確かに画期的なことかもしれない。ZERO-ONEや高山との絶縁話については本当かどうかわからないが・・・。
興味深いのは、Uインターでの北尾戦についての記述。これは、当初は高田が勝つ予定だったのが、北尾が出ないとゴネだし、高田側は「ならばシュートで」との案も出したがそれも拒否され、結局「時間切れ引き分け」の予定で行われたそうだ。高田は、その約束を破り、本気のハイキックを入れてKO勝利してしまう。この辺の経緯が正直に書いてある。タナカ☆タダシ本ですでに書かれていたことは事実であったわけだ。
しかし、一方ではPRIDEでの(限りなくクロに近いと言われている)コールマン戦、アレク戦については、結果を載せるだけで、言及することを避けている。唯一、2回目のヒクソン戦に先だって組まれたカイル・ストゥージョン戦では、「ヒクソン戦の前にリスクを負いたくなかったので、恥を忍んで『楽に勝てる相手』をリクエストした」との高田の証言が載ってはいるが。
また、ヒクソン戦の前にマイク・タイソンとの対戦が計画され、一度はヒクソン戦を諦めてそちらに専念しようと決心したことがあったらしい。ところが、高田がヒクソンとの対戦について仲介者に渡していた「すべてお任せする」との委任状があったため、やむを得ずヒクソン戦を選択したそうだ。
あとは、新日時代に高田が先輩レスラーに騙され、相撲部屋に入門させられていた話や、Uインター時代に田村が金にうるさくなり信用できなくなった話、「さわやか新党」での選挙立候補話、キングダムとの関係など、それなりに興味深い話が載っている。今回は時間がなくて斜め読みだったが、じっくり読むだけの価値はありそうだ。

「泣き虫」金子達仁著(幻冬舎・税抜1600円)
http://books.yahoo.co.jp/bin/detail?id=r0018360