格闘技徒然草

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★佐竹雅昭回顧本「まっすぐに蹴る」感想

不可解な判定負けに終わったK−1最後の試合・武蔵戦の真相は? K−1,そして石井館長の真実とは? 武道とは、戦うとは、そして生きるとは、すべてをここに語る。

すごい内容だった。内容はほぼ館長を中心に正道会館時代の同僚の悪口。
大学卒業時、関西テレビに内定が決まっていた佐竹。しかし、館長にくどかれ、空手の道に。その時、館長は「うちに来たら給料はこれだけ払う」と言って、指を5本出したが、50万円だと思ったら5万円だったという。他にも、館長が銀座で金をばらまいているとか、K-1の時に「儲けは折半」と言ったのも嘘で、佐竹の給料は正道会館を離れるまで、ファイトマネー込みでたったの13万だったとか、衝撃的な事実がどんどん明らかに。その上、「館長が有罪になったら、もっと面白いことが書ける」なんて書いてあるからたまらない。さらに、佐竹が連戦のせいで、脳に深刻なダメージを負っていたのに、館長は「そのことは誰にも言うな」と命じて試合を組んでいたとか。
かつての同僚(弟子)については、武蔵は「しょっちゅう金玉を蹴られてすぐにうずくまっている選手」と痛烈な評価。今回の武蔵のK-1準優勝はどう見ているか?まあ、レベルが低すぎただけと言うかもしれないが。あと、角田も「彼のことを好きな後輩はいない」「自分がテレビに出ていた時は、影で『空手家があれではいけない』と言っていたのに、今は自分が出まくってる」などと、これもボロクソ。
K-1を去った佐竹は、紙プロ編集者の仲介でPRIDEのリングへ。この辺では、畑違いの総合のリングに向かう心構えなど、純粋な「格闘家・佐竹」の心情が描かれていて、それなりに興味深い。ランペイジ・ジャクソン戦で、開頭手術をするほどのダメージを受け、半年以上練習していなかったのに、引退試合となった吉田戦のオファーは試合の2週間前だったとか、ここでも佐竹はきついマッチメークにさらされる。が、多少紙プロ編集者に恨み言を言ってるくらいで、PRIDEそのものにはわりと好意的な発言が多かった。
ここまでは良かったが、ページが埋まらなかったのか、最後の三分の一くらいはどうでもいい雑文がかいてある。佐竹の女性観とか、政治についてとか。まったくどうでもいいし、つまらなかったので飛ばした。
しかし、最初の三分の一の内容だけでも、十分読むに値する本である。
本体1400円(税別)・角川書店