格闘技徒然草

MMAを中心とした格闘技情報&観戦ブログ

★UFC144:総評(試合編)

当日分、前座カードの速報が消えてることに今気がついた。補足もこめて、試合を振り返ってみる。
田村一聖 vs. ヂャン・ティェカン
1R、パンチでぐらつかせて十分いけそうな雰囲気。2Rにハイキックからのパウンドで完全KO!
いきなりのKO勝ちでイベントに火をつけてくれた。「またこの舞台に戻って来たい」と言っていた所を見ると、単発契約か。今いきなり狼の巣に放り込まれるよりはかえっていいかもしれない。焦らず経験を積めばまたチャンスは巡ってくる。
水垣偉弥 vs. クリス・カリアーゾ
1R、スタンドで上回ると思われた水垣だが、カリアーゾの打撃に意外と手こずる。テイクダウンをしっかり奪いコツコツパンチを当てていく。
2Rはカリアーゾがさらに前に出てくる。水垣はテイクダウンを奪うがカリアーゾはハーフネルソン。前転して脱出。会場で見ている分では、前半の打撃でどれだけ差が出たかは分からない。
3R。またも打撃でプレッシャーをかけるカリアーゾだが、ハイキックを空振って倒れたところで水垣が上を取る。パンチを落としていったがほとんど有効打はなかった。
「わけのわからない判定がたまにありえる」という前提で見れば、「たまにありえる」試合。試合後に勝者ボーナスが払われると伝えられたが、負けという結果は覆らない。タイトル戦線に復帰して欲しかっただけに、この負けは痛い。
福田力 vs. スティーブ・キャントウェル
テイクダウンしてかなり強いパウンドを落としていく福田。キャントウェルは下からの攻めが多彩。フットチョークを狙いヒヤリとさせる場面も。しかし終盤、キャントウェルは明らかにボディが効いて失速。ミドル・前蹴りなどでボディに攻撃を集中して勝利。
久々の試合だが動けていた。今後も十分やっていける確信が持てた試合。
山本“KID”徳郁 vs. ヴァウアン・リー
スタンドでプレッシャーをかけられているKID。不安がよぎるが、パンチがヒットしぐらつかせる。ガードを固めたリーにパンチのラッシュ!しかし、まったくKOできる気配がなく逃げられる。そして逆にパンチをもらい、苦し紛れにタックルで凌ごうとしたが、三角→十字と切り替えられて初のタップ負け。悔しげにマットを叩くKID。
五味のネイト戦と同じく、打撃で勝負したいのにその打撃で劣勢となり、タックルで凌ごうとしたらグラウンドで捕まった。本人はミスだと言っていたが、タックルせずにスタンドをキープしていたらKOされていたかもしれないし、そもそもリー相手に倒し切れず打ち負ける時点で、もう以前のKIDではないと思った。フライ級に落としてチャンスを与えるというのももう酷。
五味隆典 vs. 光岡映二
光岡がどんどんプレッシャーをかけてきて、五味はガードを下げた構えでパンチをもらう。思い切って出たところにカウンターがヒットしダウン。終わったかと思ったが、凌いで2Rに行くと光岡が失速。タックルを切ってパウンドで逆転。
勝てたけど相手が光岡だったからというのが多分にある。正直、次回日本大会あたりを花道にした方がいいと思ってしまった。
光岡は見せ場も作ったし、次回はフェザーに落とすだろうから、複数試合契約で1試合リリースということはないだろう。
アンソニー・ペティス vs. ジョー・ローゾン
ペティス戦慄KO勝ち!ベンヘンを最後に破っているし、タイトル挑戦は自然な流れか。
日沖発 vs. バート・パラゼウスキー
課題だった金網際でのテイクダウンが、オクタゴン中央に向けて倒してしっかり取れていた。1Rの腕十字は惜しすぎ。2R以降はパラゼウスキーがグラウンドで完全に守りに徹していたので、圧倒できても極め切れなかった。
試合後フェザー級2位と言われた日沖だが、今アルドのタイトルに挑戦して勝てる期待感があるかというと疑問。次は王者経験のあるマイク・ブラウンあたりとはどうか。
岡見勇信 vs. ティム・ボーシュ
危なげなく試合を進めていた岡見にまさかの落とし穴。海外挑戦初期になかなか勝てなかった頃を除くと、UFCに行ってからもこんな場面はアンデウソン戦以外見たことがない。今回は地元凱旋で勝てる相手との試合を組んでもらっていたのに。これで次の試合が厳しくなった。
ジェイク・シールズ vs. 秋山成勲
タックルはほぼ完璧に防いでいた秋山だが、その分打撃が出なくなってしまった。打撃を出さずに待ち構えたからこそタックルを切れたとも言えるが。2Rは微妙だったんだし、3Rは最初から作戦を変えてKOしに行くべきだったのでは。4連敗だが、シールズ相手に健闘した形になって、リリースが微妙になった。1年インターバルをあけて次回の日本大会で引退試合でどうか。
秋山が良かったというより、シールズのタックルが駄目すぎるように見えた。2R以降は失速してたし。Strikeforceでダンヘンやメイヘムを漬けまくって古漬けにしていた姿は見る影もない。減量がきついならミドルに戻した方がいいのでは。
マーク・ハントvsシーク・コンゴ
ハントがまさかの完勝。対戦相手次第ではもうちょい上でもいい試合ができる。日本的マッチメークならそうしてる。
ランペイジ・ジャクソン vs. ライアン・ベイダー
会場の暇つぶし用に持ってきたゴン格を、結局会場では開く暇がなくて、大会後にランペイジのインタビューを読んだのだが、「ベイダーは最高の状態のランペイジと戦わなければならない」とあるのを見て悲しくなった。沸かせたのはスラムを決めた場面だけ。すでにファイターとしてのモチベーションも下がってしまっているよう。
日本をリスペクトしてくれているのは嬉しいが、無理に出場して動けないランペイジを見せられるのも悲しい。次回日本大会では本当に最高の状態で現役最後の試合を見せてくれたらいいのだが(次回を引退試合祭りにしてしまっているが)。
フランク・エドガー vs. ベンソン・ヘンダーソン
秋山に対するブーイング、かつて日本格闘技界を盛り上げたハント・ランペイジへの声援で、未だに過去の呪縛に囚われていた会場をUFC色に染め直したライト級タイトルマッチ。適度に日本向けにしつつ、最後にちゃんとタイトルマッチを持ってきてくれて良かった。
何度もミドルをキャッチされたベンヘンだが、そこからテイクダウンされることなく、片足のまま殴りに行っていた。驚異的なバランスの良さ。2Rにはヘンゾ・グレイシー・アカデミーのエドガーに対し、ヘンゾキックで蹴り上げダメージを与える。それでも失速せずに、最終ラウンドにフラッシュダウンまで奪ったエドガーもさすがだが。
会場で見ていたら、最終ラウンド以外はベンヘンでいいと思ったが、意外に接戦と思われている様子。エドガーはリマッチを要求しているが、あるとしてもダイレクトではないだろう。身軽になったことだし、エドガー vs. ジョゼ・アルドのドリームマッチも見たい。
明日は試合以外の演出や会場の盛り上がりなどについて書きます。