格闘技徒然草

MMAを中心とした格闘技情報&観戦ブログ

★UFN52:予想と展望(プレリム編)

第1試合・フェザー級 
マキシモ・ブランコ vs. ダン・フッカー

日本ではフィジカルと勢いで活躍した真騎士だが、UFCでは勢いよりむしろ雑な攻めが目立ち、戦績2勝3敗と負け越している。勝った試合でもパンチでダウンを奪われるなど、甘さが目立つ。荒削りな攻めがなくなればもっと勝てると思っていたのだが、なかなか改善される様子がない。
ニュージーランド大会でご当地選手としてデビューしたフッカーは、オーストラリアキック王者の経験がある24歳。デビュー戦はイギリスの足関フリーク・エントウィッスルがヒールを狙った所をパウンド・肘のラッシュでKOした。リーチが長くパウンドも強かったが、10年以上前にヨアキム・ハンセン相手に佐藤ルミナが喫した負け方を今まだやっているようなレベルの相手だったということもある。すぐに足関の展開になってしまったので、スタンドや寝技のレベルはまだ良くわからない。そもそもUFCレベルかどうかもまだ不明。パウンドは怖いが真騎士は自ら下になることもないだろう。

第2試合・ライト級
徳留一樹 vs. ジョニー・ケース

今大会の日本勢で唯一、タイトル獲得経験がない徳留。現UFC契約選手としても日本人で唯一タイトル経験がない選手である*1。日本での実績を上げている途中のオファーというのは、UFCに参戦したくてもできない選手が多い中ではラッキーと言える。初戦はクリスチアーノ・マルセロのパンチを貰いながらも怯まず打ち返し、後半はテイクダウンからのパウンドで判定勝ち。打たれてもひるまずやり返す気持ちの強さがある。その後はノーマン・パークとナム・ウィチョルに連敗したが、決して勝てないという内容ではなかった。しかし勝てない相手ではなかったからこそ、競り合いを制することができなかったのが痛い。3連敗だとリリースの可能性もある。
ジョニー・ケースはこれがUFC初戦。UFCだけでなく、アメリカ国外での試合も初めて。デビュー戦なので実力は未知数だが、幼少期から始めたレスリングをバックボーンに、18勝中11のKO勝利がある。一発の重さではケースが上か。徳留が強気の打ち合いに行くのはリスクがあるかもしれない。

第3試合・バンタム級
田中路教 vs. カン・ギョンホ

この試合は裏メイン。
ギョンホはUFC戦績こそ1勝1敗1NC(カサレス戦はスプリット判定負け後、カサレスからマリファナが検出されノーコンテスト)で、MMA戦績も12勝7敗と、UFCファイターとしては珍しいくらいに勝率が低い。キャリア初期に日本に来た頃は前座で普通に負けていたが、その後急成長した。デビュー戦のカサレス戦では、手塚がテイクダウンに苦労したカサレスから再三上を取るなど、フィジカルの強さが武器の一つ。カサレス戦、チコ・ケイムス戦と、2戦続けてほぼ互角の内容ながら判定で敗れたが、いずれもグラウンドで上になっている時間は長くてもパウンドなどのダメージを与える攻めが足りなかったのが敗因。しかし、前回の清水戦では、その時の反省もあったのか、上からガンガンパウンドを落としていた(清水戦は体格差も大きかったが)。
田中も同じくフィジカルが武器。デビュー戦のローランド・デローム戦では、下になる場面もあったが瞬時にポジションを返し、上からの攻めで判定勝ち。
上からの攻めが武器の田中に対し、ギョンホは下からも攻められる分、際の攻防で下になることがある。そこで上から固めて削ることができれば田中ペースとなるが、そこに至るまでのスタンドの攻防でどれだけ被弾しないかがポイント。

第4試合・ウェルター
イム・ヒョンギュ vs. 佐藤豪則

佐藤のUFC2戦目。デビュー戦となったエリック・シウバ戦では、準備期間の短さもあり、ほぼ何も出来ず秒殺KO負け。初戦は超アウェイのブラジルだったが、今回はホームの日本大会。しかし、相手は難敵のイム・ヒョンギュ。前回タレック・サフィジーヌに敗れるまで7連勝でうち6試合がKO(1RKOが2試合)というストライカー。打撃の技術自体はそれほど上手くなく、被弾も多いが、気持ちが強く打ち合いで引かない。パスカル・クラウス戦でもボクサーのクラウスのパンチを貰いながらも打ち返し、逆にKOして見せた。サフィジーヌ戦も内容は一方的だったが、最後まで心を折らずに最終ラウンドには逆襲に転じてみせた。
佐藤の武器は当然寝技ではあるが、その前にまずテイクダウンを奪えるかどうか。ケージでのテイクダウン能力は未知数。正直、佐藤にとってはヒョンギュは相性が悪いタイプだと思う。長期戦だと佐藤が先に消耗して差はかえって大きくなる。序盤で投げからの極めで勝負したい。

第5試合・フェザー級
菊野克紀 vs. サム・シシリア

菊野が今回からフェザー級に転向。UFC2戦続けてリーチ190cm超えの相手との対戦だったが、今回のシシリアは身長・リーチともに菊野とほぼ同じ。やっと互角の条件で勝負ができる。初の階級ではあるが、体格的にはフェザー級はそれほどきつくはないはず。
シシリアはボクシング・レスリングがバックボーン。ハードパンチャーで、スタンドでのパンチやパウンドでKOが多い。見た目はハゲ親父だが菊野より4歳年下の28歳。
ボクサー相手とはいえ菊野はこのレベル相手なら打撃勝負で打ち勝ちたなければいけない。今後フェザー級でどれだけできるかの試金石となる試合。

第6試合・バンタム級
アレックス・カサレス vs. 金原正徳

金原のUFCデビュー戦。相手はいきなりランキング10位のカサレス。とはいえカサレスにはそこまで強いイメージはない。勝った試合もスプリット判定勝ちが多く、カン・ギョンホ戦はどちらが勝ってもおかしくない内容だった。田中や佐々木憂流迦が完勝したローランド・デローム相手にもダウンを奪われてのスプリットでの勝利。裏を返せば、それだけ競り合いに強く、拮抗した展開で勝ちを拾うのが上手いということでもある。連勝を止められた前回のユライア・フェイバー戦も、押されていたとはいえ一方的ではなかった。最近7試合中6試合が3Rまでもつれている。
対照的に6試合連続1Rで試合が終わっているのが金原。外国人相手に5連勝していたが、ほとんど一方的な展開で試合が終わっていたし、格落ちの相手が多かった。かつては戦極フェザー級GPで日沖・小見川相手にフルラウンドの激闘を繰り広げていた金原だが、ギリギリの勝負から遠ざかっていることに一抹の不安が残る。
金原が勝つとしたら1Rでの打撃か、打撃で攻めてからの極め。長期戦になるとカサレス有利と見る。
メインカード予想は明日。

*1:秋山・KIDはHERO'Sでトーナメント制覇