格闘技徒然草

MMAを中心とした格闘技情報&観戦ブログ

★「船木誠勝の真実」感想

最近船木が出した自伝本を、本屋で斜め読みしてきました。船木の自伝は過去にもあるし、UWF当時の話は宮戸本にも詳しく出ているので、それほど目新しい話はないけれど、いくつか面白かったところを。
・新日時代、先輩は厳しかったが、藤波は色々目をかけてくれた。ヨーロッパ遠征が決まると「新日本は大変だけど、帰った時にお前が上がるリングは絶対残しておくから」と言って餞別に50万円をくれた。(でも、船木は逆に「こんなことを言うなんて、新日本はどうなってしまうんだろう」と不安になってしまったという。ドラゴン裏目)。
・新日を辞める時に、猪木から「ジャッキー・チェンとの異種格闘技戦」を聞かされたという話は有名だが、船木は最初「凄い」と思ったらしい。でも、ライガーに「ジャッキーは格闘家じゃないし」と言われると、「それもそうだな」と思って何とも思わなくなってしまったという。船木あっさりすぎ。
・藤原組時代は家賃35万のマンションに住んでいた。ドームでのモーリス・スミス戦はセメントじゃなかった。しかも他の選手はそのことを知らなかった。試合後花道で泣いたのは、みんなセメントをやっているのに、自分だけいつもの試合をしなければいけないのが悔しかったから。
パンクラスを旗揚げするのに、あちこちに頭を下げて資金をかき集めた。一番出してくれたのは冨宅の親父さん。
パンクラス初期に来たキース・ベーゼムスはわざと顔面パンチを狙ってきた。もしそれで自分がKOされたら、みんながリングに上がってベーゼムスをボコボコにする予定だった。
・ルッテン戦では、試合後のマイクで引退しようと思っていた(「そして1,2年くらいで復帰していたかも」だそうだが)が、ファンの「船木辞めるなー!」という声で続行を決意した。
・でも横浜でメッツァーとやった時、ファンに「船木辞めちまえ」と言われて「これからは好きなことをやろう」と決意。この時の罵声は相当根に持っているらしい。
ヒクソン戦は突然決まった。ヒクソンは相手を選んでいると思った。ブラガ戦を見て「船木なら勝てる」と思って試合を受けたんだろう。ヒクソンが本当の武士道精神を持っていれば、自分の格闘技に対する思いも理解してくれると思ったが、やってみてヒクソンに武士道精神はないとわかった。
ヒクソンの凄いところは度胸。打撃もレスリングもたいしたことがなく、試合中に「これなら山宮の方が上だな」と思った。でもグラウンドはさすがだった。最後はコーナーの高橋が何かを言っているので、そっちの方を見たらスリーパーを取られた。
・芸能界は複雑で、「コノヤロー!」と思うこともある。そういう時は、「どんなに偉い俳優でも、殺し合いになったら負けない」と思うことにしている。
パンクラスには一定期間興行を止めてほしい。他団体に選手を派遣するプロモーションにすればいい。そうすれば、実力がない選手はどこでも試合が出来なくなる。そうして残った本当に価値がある選手だけでもう一度旗揚げすればいい。でもこれをやるのは興行会社だから無理だとわかっているが。
こんなところです。今回一番驚いたのは、一昨年買ったパソコンに「誠勝」が辞書登録されていなかったこと。自分自身にビックリしました。
船木誠勝の真実」1600円(税抜) (株)エンターブレイン発行
http://www.enterbrain.co.jp/jp/p_catalog/book/2003/4-7577-1619-2.html