格闘技徒然草

MMAを中心とした格闘技情報&観戦ブログ

UFC266:第10試合・カーティス・ブレイズ vs. ジャルジーニョ・ホーゼンストライク

ヘビー級。ブレイズ4位、ホーゼンストライク6位。

キャリアで3敗しかしていないブレイズ。うち2敗は現王者のガヌー。もう1試合が前戦で、喧嘩屋デリック・ルイスに対し、1Rは下がって手を出さないルイスをローなどで削っていったが、2Rにタックルに入った所にアッパーを合わされKO負け。勝ったルイスは次戦でガーヌとの暫定王座決定戦が組まれており、ブレイズもタイトルまで後少しの所まで来ている。バックボーンはレスリング。

ホーゼンストライクもキャリアでは2敗のみで、相手はガヌーと暫定王者のガーヌ。ガヌー戦は秒殺KO負け、ガーヌ戦はお互いスタンドで手数が少ない展開で、終始プレッシャーを掛けられ下がる展開で見せ場のない判定負け。前戦はアウグスト・サカイ戦で、やはり手数が少ない展開だったが、1R終盤に放ったパンチがサカイのテンプルにヒットしKO勝ちで再起を果たした。

珍しく序盤から出ていくローゼンストライク。ブレイズ飛び込んでジャブ。タックルのフェイントに左右のフックを合わせようとするローゼンストライク。ブレイズタックル。四つから足をかけてテイクダウン。サイドから肘。脇腹に膝。ケージに押し付けながらパウンド。座ったローゼンストライクのバックから押さえつけながらパンチを入れるブレイズ。腕を掴んでパウンドを防ぎ立ったローゼンストライク。離れる。ちょっと疲れが見えるローゼンストライク。ブレイズジャブ。ロー。ローゼンストライクは手が出ない。ブレイズのカーフキックを掴んでパンチを出した。単発の飛び込みパンチを見せたローゼンストライク。ブレイズ距離を取る。ホーン。

1Rブレイズ。

2R。ブレイズのパンチにカウンターを合わせるローゼンストライク。バックステップしながら打ち込む。打ち合っているが、距離を取っての打撃戦でブーイングが飛ぶ。ローゼンストライクの飛び膝をキャッチしてテイクダウンを狙ったブレイズだが倒せず。しかしまたタックル。テイクダウン。ローゼンストライクのガード。残り1分。ハーフに。押さえ込みながら細かいパウンドを入れるブレイズ。ホーン。

2Rブレイズ。会場からはブーイング。ブレイズ右目下が腫れている。

3R。またアウトボクシングするブレイズ。ローゼンストライク出ていけない。ブレイズレッグダイブ。テイクダウン。ローゼンストライクのガードに。下から蹴るローゼンストライクだが、ガードに入ったブレイズ。ハーフに。体を起こそうとしたローゼンストライクだが再び押さえ込まれる。残り1分。密着したままコツコツ殴るブレイズ。ローゼンストライク立てない。ブーイングが鳴り止まない中、タイムアップ。

三者フルマークでブレイズ勝利。

勝ったが会場からはブーイング。押さえ込みに徹したのは2Rの飛び膝で目が腫れてパンチが見づらくなっていたためか。ガヌー、ガーヌ、JJと戦いたいとコメント。この内容ではタイトル戦線は厳しそうだが。

ホーゼンストライク、UFCでは初めて下になる展開だったが、RIZIN時代から成長しておらず、下のまま何もできずに終わった。

UFC266:第9試合・ジェシカ・アンドラジ vs. シンシア・カルヴィーヨ

女子フライ級。アンドラジ1位、カルヴィーヨ5位。

前回、シェフチェンコのタイトルに挑戦したが、スタンド・グラウンド・テイクダウンすべてで上を行かれて完敗したアンドラジ。もともとはバンタム級で、一気にストロー級まで2階級落とした(当時はまだフライ級がなかった)。ストロー級ではヨアンナのタイトルに挑戦したが判定負け。ヨアンナからタイトルを奪ったナマユナスにはスタンドでアームロックを狙うナマユナスを抱え上げて頭から叩きつけてKO勝ち。しかしジャン・ウェイリーには秒殺KO負け、さらにナマユナスとの再戦でもスプリット判定負けで連敗したのをきっかけにフライ級に落とした。女子離れしたパワーが武器だが、フライ級では体格差がある。今日が30歳の誕生日。

カルヴィーヨもストロー級から上げてきた選手。アンドラジと同じく、転向初戦は勝利したが2戦目は敗れて1勝1敗。初戦は当時ランキング1位のジェシカ・アイにテイクダウンから攻めて判定勝ち。しかし前戦はアンドラジにKO負けしているチューケイギアン相手に距離を取られて打撃を入れられる展開で判定負け。しかしここで勝てばまたタイトル挑戦のチャンスが巡ってくる。

間合いを詰めていくアンドラジ。プレスしてケージまで下がらせるとパンチを打ち込む。右がヒット。下がっていくカルヴィーヨ。下がりながらもパンチを打ち返す。ヒットはしている。左の3連打を打ち込むアンドラジ。どんどん詰めていく。またパンチの連打を入れた。カルヴィーヨ距離を取る。追いかけてアッパーがヒット!ケージ際で頭をブロッキングしていたカルヴィーヨだが、そこにアンドラジがラッシュすると頭を抱える。アンドラジのラッシュ。横を向いて打たれ続けるカルヴィーヨを見てレフェリーストップ!

アンドラジ快勝。トップ5ランカーで唯一王座挑戦がないカルヴィーヨを1Rで倒したことで、再挑戦への道が開けてきた。しかし前回の内容を見ると、王者シェフチェンコの牙城を崩すのは難しそう。

カルヴィーヨは初のフィニッシュ負け。フライ級初戦でランキング1位を倒したが、その後2連敗に。

UFC266:第8試合・マルロン・モラエス vs. マラブ・デヴァリシビリ

バンタム級。モラエス6位、デヴァリシビリ11位。

元WSOF王者モラエスはセフードのタイトルに挑戦したがKO負け。さらに次戦ではアルドに勝ったにも関わらず、アルドがタイトル挑戦(コロナによるイベント中止で流れる)という不遇な扱いに。それでも勝ち続けていれば、セフードも引退したことだしチャンスが回ってくると思われたが、サンドヘイゲンとフォントに2試合連続のKO負けで、完全にタイトル戦線から後退してしまった。

ダイナモタックラー・デヴァリシビリはUFCデビューから2連敗したがそこから6連勝中。すべて判定だが、ひたすらテイクダウンしつづけるスタイルで、8試合でバンタム級史上最多の46回のテイクダウンを奪っている。うち1試合で3桁のテイクダウンが3回。無尽蔵のスタミナでテイクダウンし続ける。オッズは下位ランカーのデヴァリシビリが上だが、フィニッシュがないだけにどうなるか。

距離を取りつつローで牽制するデヴァリシビリだが、モラエスもロー。足が流れるデヴァリシビリ。またロー。出たデヴァリシビリにパンチがヒット。しかしモラエスのローに合わせたタックルでテイクダウン。押さえ込もうとするデヴァリシビリだがモラエス立った。デヴァリシビリワンツー。アッパーを放ったが空振り。モラエスがパンチを返す。出たデヴァリシビリに左がヒットし効いた!ぐらつくデヴァリシビリにを追いかけてパンチを打ち込むモラエス。パウンド連打!デヴァリシビリなんとか立って脱出。しかしモラエス距離を詰めパンチを打ち込む。デヴァリシビリも打ち返す。モラエスフィニッシュを狙いラッシュするがデヴァリシビリ凌いだ。四つからテイクダウン。モラエスラッシュで疲れたのか、下からしがみついて凌ぐ。デヴァリシビリインサイドからパウンド。顔面にもらっているモラエス。鉄槌乱れ打ち。もらっているモラエス。効いているか。ホーン。

1Rモラエスだが、デヴァリシビリ終盤に驚異の追い上げ。モラエスは逆に急激な失速。スタミナ切れか、アクシデントか?

2R。俄然元気になったデヴァリシビリ。モラエスはステップがない。デヴァリシビリタックル。テイクダウンすると休まずパウンドを打ち込み続ける。凌ぐのが精一杯のモラエス。下からしがみつくが引き剥がされる。インサイドから肘・鉄槌。休まず打ち続ける。モラエスは凌ぐ以外の動きがない。肘連打。通常ならインサイドからそこまで効果的な攻めはできないところだが、モラエスがおかしい。残り2分でようやくタックルから立った。デヴァリシビリはこらえつつパンチ入れていくと、引き倒して座らせパンチを入れていく。亀のモラエスにパウンド連打。動けないモラエス。殴られ続けレフェリーストップ!

デヴァリシビリ大逆転勝利。UFC初フィニッシュで7連勝を達成。

モラエスはKO勝ち寸前からあまりにも突然の失速で3連続KO負け。明暗くっきりの結末に。試合後も怪我の様子は見えないので単なるスタミナ切れか?

UFC266:第7試合・ダン・フッカー vs. ナスラット・ハクパラスト

ライト級。フッカー8位、ハクパラストはランク外。

キックがバックボーンでストライカーのフッカーは昨年ポイエーにKO負け、今年1月にはBellatorからの移籍初戦となるマイケル・チャンドラーに1RKO負けと連敗中。元キックボクサーで、ライト級に上げてからトップランカー入りを果たしたが、トップ5が相手になると分が悪い。今回はニュージーランドからのビザが直前まで発行されず参戦の危機だったが、先週の火曜日にビザが発行され、木曜の飛行機で計量前日にラスベガス入りするという強行日程でなんとか出場できることに。

ドイツのハクパラストもキックがバックボーンでUFC戦績5勝2敗。敗れた相手はマーチン・ヘルドとドリュー・ドーバー。ランカーとはこれが初対戦となる。先月26歳になったばかり。ローカル時代、デビュー2戦目から6試合連続1RKO勝利を含む8連勝・全KO勝ちでUFCと契約したが、UFCでは倒すのではなくヒット数で勝つことが多い。

プレスするフッカー。ハクパラストはケージ際をサークリング。フッカー右ミドルを入れたがパンチを返すハクパラスト。フッカー右ハイ。ハクパラストがワンツー。また間合いを詰めるフッカー。インロー。右ミドル。手が出ないハクパラストだが飛び込んでワンツー。フッカーは慌てず冷静に追いかけつつ打撃を入れていく。後退一辺倒のハクパラストだが、フッカーが出たところに右がヒット。フッカー膝をついたがすぐ立った。また詰めるがハクパラストワンツー。フッカータックルに切り替えたがハクパラストはケージでこらえる。放してパンチ・膝を入れたフッカー。ホーン。

1Rフッカーがフラッシュダウン気味に膝をついた場面があったが、手数に差があるのでフッカーのラウンドか。

2R。フッカー右ミドル。またケージまで下がるハクパラスト。しかし下がるだけでなく出てパンチも返す。フッカー膝を出してからタックルへ。ケージでこらえるハクパラスト。倒せず膝を入れる。離れた。フッカーまたタックル。しかし受け止めたハクパラストが入れ替えて打撃を入れ離れる。ケージに詰めたフッカーが首相撲から膝。ハクパラストボディを打ち込む。フッカーもボディを返す。どんどん詰めてプレスするフッカー。また組んでテイクダウン狙い。投げを狙うハクパラストだがフッカーこらえた。アッパーを入れて離れるハクパラストだが、フッカー距離を離さず追いかけていく。ボディロックから今度はテイクダウン成功。サイドからレッグドラッグハーフ。サイド。押さえ込みながら肘・肩パンチを入れる。固められ動けないハクパラスト。ホーン。

2Rフッカー。打撃でプレッシャーをかけているが、打撃勝負ではなくテイクダウンも狙っている。ハクパラストは一発KOを狙うしかない。

3R。ハクパラストすぐに出てパンチを入れる。下がらず中央で打撃戦。ハクパラストのワンツーがかすめる。フッカー前蹴りからワンツー。ハクパラストが出てフッカーが下がる展開に。しかし下がりながら蹴りを当てていく。ハクパラストが出たタイミングでタックル。テイクダウン。サイド。ハクパラスト下からホールディング。放して逃げようとするハクパラストだが亀に。フッカバックからパウンド。立とうとした瞬間にチョークを狙ったフッカーだが振りほどいて立った。すぐにパンチで出るハクパラストだがフッカーカウンターのタックル。バックに回りテイクダウン。立ち上がりパウンドを入れつつパスして正対。押さえ込みながらパウンドを入れる。タイムアップ。

30-27×2、30-26の3-0でフッカー勝利。

10-8つけるラウンドはないと思ったが、終始攻勢で勝利。ただ連敗中ということもあり、万一の事故も防ぎたかったのか安全策での攻めとなり、フィニッシュには至らず。

ハクパラストは前半下がりすぎた。KOするしかなくなった3Rには出ていったが、そこにタックルを合わせるフッカーの巧さにやられた。

UFC266:第6試合・シャミル・アブドゥラヒモフ vs. クリス・ドーカス

ヘビー級。アブドゥラヒモフ7位、ドーカス10位。

コロナで試合が流れまくり、これが2年ぶりの試合となるアブドゥラヒモフ。ドーカス戦も7月に組まれていたが、アブドゥラヒモフのコロナ陽性により流れた。UFC5勝3敗で、負けた相手はティモシー・ジョンソン、デリック・ルイス、カーティス・ブレイズ。散打・レスリングがバックボーン。2年前、ブレイズと対戦して敗れた時はランキング9位だったが、何もしないうちに上が抜けていって7位に上がっている。今月40歳になり、あまり上がり目は見えない。

ドーカスはUFCデビューから3試合連続1RKO勝利で連勝中。ウェイトが100kg台前半と、ヘビー級にしては軽い。32歳。昨年6月に弟のカイル・ドーカスもUFCと契約したが(ここまで1勝2敗)、弟は身長・リーチが一緒だがミドル級。前回、UFC最年長のアレクセイ・オレイニクと対戦し、序盤のパンチでKO勝ちしてランキング入りした。試合では全く見せていないが、柔術も黒帯とのこと。もともと代役でUFCと契約した選手で、ローカルでも3敗しているので鳴り物入りでのUFC契約ではないが、今の所底は見えない。

あえて体重を絞っているというドーカスではあるが、腹回りには余裕がある。パンチのコンボを入れたドーカス。アブドゥラヒモフはバックキック。ドーカスのオーバーハンドの右に左を合わせる。アブドゥラヒモフのパンチがヒット。さらにジャブもヒット。ちょっと下がるドーカス。先手を取っていくアブドゥラヒモフ。が、ドーカスのローで足を払われスリップダウン。上を取ったドーカスだがアブドゥラヒモフすぐ立つ。ドーカスがパンチで出るがアブドゥラヒモフ打ち返している。残り1分。ドーカス前に出ていくと左フックが入りアブドゥラヒモフダウン!マウント!アブドゥラヒモフ下からしがみついて必死に凌ぐ。ドーカスパウンドラッシュ。しかし凌いだ。ホーン。

1Rドーカス。打撃ではややアブドゥラヒモフか?と思った終盤にスピーディな左フックが入り逆転。しかしホーンに救われた。

2R。出ていくドーカスに手を出していくアブドゥラヒモフ。まだダメージがあるはず。ドーカス出ていって4連打。右が顎を打ち抜きアブドゥラヒモフダウン!肘!レフェリー止めた!

ドーカス、1RKOは逃したが、トップ10ランカーをKOして4連勝。ヘビー級であえて体重を絞りスピード重視にしたことで、ここまでの相手は打撃に対応できず完勝している。タイトルコンテンダークラスになるとスピードもあるがどうか。

 

UFC266:第5試合・ロクサン・モダフェリ vs. タイラ・サントス

女子フライ級。ロクサン9位、サントス12位。

前日の計量日に39歳になったロクサン。MMA25勝14敗、キャリア18年の女子格闘技のパイオニア的存在。学生時代は柔道・柔術を行い、東京に留学するとスマックガールMMAデビュー。UFC再デビューからここまで、負け勝ちを交互に繰り返し4勝5敗。グラップラーだったが、最近になってボクシングが向上していきている。とはいえ、なまじ打撃ができるようになったせいで、不利な打撃勝負を続けてしまう。

UFC戦績2勝1敗のサントスだが、前回ランキング13位のジリアン・ロバートソンに勝ってランキング入り。父がムエタイのコーチだが、サントスがムエタイを始めたのは16歳から。20歳にプロデビューすると、デビュー2戦目から10試合連続1R勝利。2015年には9試合もしているが、ブラジルローカルでレベルも低かった。無敗のままコンテンダーシリーズも制してUFCデビューしたが、初戦でマラ・ロメロ・ボレラにスプリット判定負けしてMMA初黒星。その後2戦はランカー相手に連勝。ロバートソン戦ではテイクダウン→下からの攻めを潰してパウンドの展開で判定勝ち。

サントスが打撃を打ち込んでいく。ロクサンもパンチを打ち返すが押され気味。サントスからボディロックで組んだ。テイクダウン。ハーフ。ガードに戻したロクサン。ガードから腕十字を狙う。しかし対応して入らせないサントス。下の時間が長くなっているロクサン。ケージによりかかりながら立った。四つでケージに押し込む。テイクダウンを狙うがサントスこらえる。逆にボディロックされてテイクダウンを許す。サイドからパウンドを入れるサントス。ロクサン立つとケージに押し込む。しかし倒せない。サントス首相撲から膝。連打。ホーン。

1Rサントス。

2R。パンチで手数を出していくロクサン。そこからシングルレッグへ。足をクラッチしたが、サントスはケージまで移動してこらえる。ボディロックにして投げを狙うが倒せず。引き剥がしたサントス。サントスの右がクリーンヒット。組んだサントスがボディロックからまたテイクダウン。インサイドかららパウンド。亀になり立つロクサン。なおもバックを取られている。残り1分。正対しようとしたが倒された。上をキープし続けるサントス。ホーン。

2Rサントス。ロクサンはグラウンドで上を取り極めるしかないが、ここまでを見ると厳しい。

3R。手を出すロクサンだがサントスの反撃をもらう。しかし下がらず出ていく。サントスの右をもらった。アッパーがかすめてロクサンダウン。サントスパウンド。ロクサンはクローズドガードで凌ぐ。ハーフから立とうとするがサントスバックに回る。ケージに持たれて真後ろにつかれるのは防いだロクサン。サントス自ら立った。余裕か。パンチで出るロクサン。残り1分。しかしサントスのジャブがヒット。出るロクサンだがヒットはサントス。ロクサン最後のタックルへ。ケージでこらえるサントス。逆に投げて上を取る。ハーフ。タイムアップ。

判定三者フルマークでサントス。

スタンド・テイクダウンで上回り、グラウンドでも上を取るとロクサンの仕掛けを許さず完勝。

気持ちは出ていたロクサンだが完敗でUFC復帰後初の連敗に。

UFC266:第4試合・ウロシュ・メディチ vs. ジェイリン・ターナー

ライト級。

昨年のコンテンダーシリーズで1RパウンドによるKO勝ちでUFCと契約したセルビアメディチ。今年3月のUFCデビュー戦では、UFC0勝1敗の相手に飛び膝からのパウンドラッシュで1RKO勝ち。28歳でMMA7戦全勝。ここまですべてKO勝ちのパーフェクトレコードで、2Rに入ったのも1戦だけだが、前回の対戦相手含め、世界レベルの相手との対戦経験はない。28歳。

ターナーはUFC3勝2敗。代役でデビューしたUFC初戦は階級上で現ランカーのヴィセンテ・ルケ戦で1RO負けしたが、本来のライト級に戻すと3勝1敗。3勝はいずれもUFC未勝利ファイターが相手だが、すべてフィニッシュしている。UFC参戦前も含めて、判定勝利はない。こちらは26歳。

同じような境遇の両者の対戦。

パンチで飛び込んだターナーメディチカーフキック。メディチのハイをキャッチしたターナーがテイクダウン。サイド。上体を固めて押さえ込むターナー。雑にマウントを狙ったところでガードに戻される。メディチケージ際まで移動。ターナーパウンド。立とうとした瞬間にターナーまたテイクダウン。が、ケージキャッチがあり注意され、ブレイクはかからないが自ら立つターナーメディチも立ってスタンドへ。打撃で出るターナー。ボディ・顔面に打ち込む。もらっているメディチ。ケージ際でガードを固めるメディチにラッシュ!自らしゃがみこんだメディチにパウンド連打。背中を向けたメディチからバックマウント!チョーク!タップアウト!

ターナー、UFC4勝すべてがフィニッシュ勝利。打撃で思ったより差があった。

UFC266:第3試合・コーディ・ブランデージ vs. ニック・マキシモフ

ミドル級。

両者UFCデビュー戦。ブランデージは19年4月にMMAデビューすると、昨年9月のコンテンダーシリーズにキャリア5戦で出場したが、ライトヘビー級でウィリアムナイトにKO負けでUFC契約ならず(ナイトは現在UFC2勝1敗)。階級をミドルに下げてローカルで試合をしていたが、カール・ロバーソンの欠場で試合わずか3日前にチャンスが回ってきた。D-2レスラーの27歳。

マキシモフはまだ23歳で、MMA6戦全勝。昨年11月のコンテンダーシリーズで判定勝ちしたがUFCとの契約ならず。その後はチェール・ソネンのグラップリングイベント・サブミッション・アンダーグラウンドで4月から7月まで毎月試合をしていたところ、UFCからの声がかかった。コンテンダーシリーズの試合はヘビー級だったが、もともとミドル~ライトヘビー級が適正。こちらもグラップラーだが、レスリング・極めのレベルはブランデージより上か。サノと同じくニック・ディアス・アカデミーの選手であるが、コンテンダーシリーズを経ての正当ルートでの出場。

パンチで出たブランデージにマキシモフがタックルに入るが切られた。さらにパンチで出る。マキシモフまたタックル。切られる。マキシモフの左がヒット。ブランデージはカーフキックを入れる。ワンツー。打撃の反応が悪いマキシモフ。しかしタックルからスタンドでバックを取る。テイクダウンを狙うがケージで耐えるブランデージ。シングルレッグへ。ブランデージキムラで凌いだ。離れる。テンカオから右を入れたブランデージ。またタックルに入るマキシモフ。切れずに足をクラッチされたブランデージ。またキムラを狙ったが両足を掬われ倒される。座った状態のブランデージにパウンドを入れる。ブランデージ立った。タックルに来たマキシモフをがぶりホーン。

僅差だがブランデージか。

2R。ブランデージがシングルレッグに入るが、片足クラッチした状態で動きが止まり、マキシモフがパウンドを入れバックに回る。バックマウント。パウンド。足のロックを外して殴るマキシモフ。ブランデージ立った。正対。ブランデージギロチンで引き込むが首を抜かれて下に。ちょっと安易だったか。バックを取らせた体勢で立とうとするが、マキシモフバックに。四の字バックからチョーク。腕を掴み外したマキシモフだがなおもバックマウント。ホーン。

2Rマキシモフ。

3R。大振りのパンチを放つブランデージ。ジャブ。マキシモフのタックルを切ったが、さらにもう一度タックルに入り足をキャッチされる。亀になるブランデージからバックを取ったマキシモフだが、ケージ際で立つブランデージ。マキシモフがまた足をすくって倒したがすぐ立つブランデージ。なおもタックルに来るマキシモフにブラウン肘。またバックに回るマキシモフ。またブラウン肘。スイッチから上を取った。ブランデージパウンド。肘。マキシモフ脇を差してスイープからバックに回るがすぐ立たれる。後ろに倒れるマキシモフだがブランデージこらえてパウンドを入れる。最後に上になりパウンドを落とすマキシモフ。ホーン。

ビジョンに客席で応援に来ているニック・ディアスが映り歓声が起こる。

3Rはブランデージ。1R次第か。

三者29-28でマキシモフ勝利。

スコアカードは1,2Rマキシモフ、3Rブランデージ。

マキシモフはレスリングで上回っての勝利だが、打撃の対処は今後に不安を残した。

ブランデージは1Rはタックルを切れていたが、2R以降はタックルにギロチンを仕掛けてポジションを悪くするなど、対処が雑だった。

UFC266:第2試合・マシュー・セメルスバーガー vs. マーティン・サノ

ウェルター級。

セメルスバーガーがUFCデビューから2連勝し、前回は元秒殺KO男のケイオス・ウィリアムズと対戦。序盤のウィリアムズの飛び込んでの打撃をしのいだものの、その後も打撃戦で劣勢のまま判定負け。大学時代は奨学金をもらいながらD-1でアメフトをやっていたが、UFCファイターを目指すために中退。25歳の遅いプロデビューだったが、3年でUFCとの契約を果たしている。

サノはMMA4勝2敗1分けの30歳。2014年にWSOFで判定負け、2016年と17年にBellatorに参戦しているが1敗1分け。7年間勝ち星がない、4年半ぶりの試合となるサノがなぜUFCと契約できたかというと、ニック・ディアス・アカデミー所属でニック・ディアスのバーターだから。2015年にパンクラスに出場したことがあったが、ウェルター級の契約でミドル級を超える7.9kgの体重オーバーをやらかして失格となっている。かつて弟のネイトも、マクレガーとの再戦の時に同じジムのクリス・アヴィラをバーターで送り込んでいるし、アンデウソンも自身が出る大会に友人のマルコス・ダルシム・マリアーノをねじ込んだことがあったが、両者とも2連敗でリリースされている。本人が出たいと言っても、そのレベルにない選手を送り込むのは気の毒だと思うのだが…。

飛び込んでパンチを打ち込んでいくセメルスバーガー。ステップインしての右が顎にヒットしサノダウン。追い打ちのパウンドに行く。レフェリー止めた。

案の定、場違いだったサノ。

 

UFC266:第1試合・ジョナサン・ピアース vs. オマール・モラレス

フェザー級

ピアースは19年のコンテンダーシリーズで勝利しUFCと契約。UFC初戦でジョー・ローゾンに1RKO負け。2戦目はハワイのMMAサラブレッド・カイ・カマカ3世と対戦し、テイクダウンからバックマウントを取ってパンチ連打を打ち込みKO勝ちで初勝利。

フロリダのサンフォードMMA所属のモラレスはUFC3勝1敗。1敗の相手は元キックボクサーで先月初のメインでエジソン・バルボーザをKOしたギガ・チカゼ。キック・空手がベースだが、11勝中2KOで、一本勝ちも5回ある。

ピアースがタックルに入るが切られた。モラレスは距離を取る。ピアースが間合いに入りパンチが交錯。モラレスのジャブがヒット。距離を詰めたピアースが組み付くと足にタックル。倒したがすぐに立たれた。なおもボディロックしているピアース。投げを狙い、こらえたモラレスを逆に後ろに振って倒す。ハーフ。しかしモラレス反転して上に。ピアース立ってまたテイクダウン。モラレスがまた立ち上がりブラウン肘を入れるが、ピアースすぐにダブルレッグで倒す。下から蹴って立つモラレス。ホーン。

1R打撃のヒットはモラレス。ピアースはテイクダウンしたが押さえ込むところまでなので、評価されるかは微妙。

2R。ピアースすぐに間合いを詰め、モラレスがケージまで下がったところでタックル。足へのタックルに切り替えテイクダウン。バックマウントを狙ったが足のフックがなく前に落とされる。上になったモラレスがアナコンダチョーク。が、外れてまたピアースのバックに。今度は両足フック。バックからパウンドを入れるピアースバックから上になりつつ肩固めを狙ったが、モラレス亀になり立つ。背中に乗ったピアースがチョーク!倒れ込んだモラレス。グラウンドでがっちり絞まってタップアウト!

ノンストップでテイクダウンを仕掛けたピアース。1Rは押さえ込ませず立ち上がっていたモラレスだったが、2Rに捕まった。

UFC266:オッズ/予想と展望

アレクサンダー・ヴォルカノフスキー 1.58
ブライアン・オルテガ 2.52
ヴァレンチーナ・シェフチェンコ 1.08
ローレン・マーフィー 9.50
ロビー・ローラー 1.79
ニック・ディアス 2.07
カーティス・ブレイズ 1.33
ジャルジーニョ・ホーゼンストライク 3.50
シンシア・カルヴィーヨ 3.00
ジェシカ・アンドラ1.42
マルロン・モラエス 3.10
マラブ・デヴァリシビリ 1.40
ダン・フッカー 1.69
ナスラット・ハクパラスト 2.25
クリス・ドーカス 1.50
シャミル・アブドゥラヒモフ 2.70
ロクサン・モダフェリ 4.35
タイラ・サントス 1.24
コーディ・ブランデージ 2.40
ニック・マキシモ1.59
ジェイリン・ターナー 2.05
ウロシュ・メディチ 1.80
マーティン・サノ 4.75
マシュー・セメルスバーガー 1.21
ジョナサン・ピアース 2.30
オマール・モラレス 1.67

2大タイトルマッチ(相変わらず女子フライ級は抱き合わせ商法だが)+ニック・ディアスの復帰戦ということで一際注目度の高い今月のナンバーシリーズ。

メインは復活したTUFのコーチ対決でもあるフェザー級タイトルマッチ。当初は3月に組まれていたが、ヴォルカノフスキーの新型コロナ陽性により流れていた。ヴォルカノフスキーは2019年12月にホロウェイを破ってタイトルを獲得。7ヶ月後のダイレクトリマッチでも、スプリット判定の接戦だったが判定勝ち。しかしそこから1年2ヶ月ぶりの試合となり、ややブランクが気になる。

オルテガMMA初黒星となったホロウェイ戦の後、1年後に組まれたジョン・チャンソン戦で負傷欠場。さらに10ヶ月のインターバルを経て仕切り直しで組まれたチャンソン戦では判定だが完勝した。11ヶ月ぶりの試合だが、直近2年間では1試合しかしておらず、やはり試合勘に不安が残る。

両者のボクシング以外の武器は、ヴォルカノフスキーがレスリング、オルテガ柔術だが、ヴォルカノフスキーがテイクダウンすればオルテガの土俵になる。今回はヴォルカノフスキーはグラウンドに持ち込まずに戦うことになるが、打撃については、ホロウェイを物差しにすれば、打撃戦で圧倒されボコボコにされたオルテガと、互角以上に打ち合ったヴォルカノフスキーという構図になる。圧倒するところまでいかなくても、ヴォルカノフスキーの優位は動かないか。

オルテガはテイクダウンは難しい。一瞬でも効かせて相手から組みに来る展開を作らないと厳しいか。

ヴォルカノフスキー判定勝ち。

セミは女子フェザー級と並んで挑戦者不足の女子フライ級。勝てば現王者で単独1位となる6回目の防衛となり、ロンダ・ラウジーと並んでUFC女子史上最多となる。

マーフィーはUFC参戦7年で初のタイトル挑戦。デビューから4戦はバンタム級で1勝3敗だったが、フライ級に落としてTUFから出直しすると、トーナメントでは初戦で敗れたものの、UFC本戦では6勝1敗で現在5連勝中。ただし、6勝のうちスプリット判定勝ちが3つある。スタンドで圧を掛けてパンチを入れていくスタイルだが、残念ながら王者の牙城を崩す期待感はなく、オッズも大差に。

シェフチェンコ判定勝ちと予想。

セミ前はメイン以上に注目されている、ニック・ディアス6年半ぶりの復帰戦。ノンタイトル戦ながら、ディアス兄弟ルールにより5分5Rで行われる。復帰前はコンディットとの暫定王座決定戦、GPS戦と判定負け、アンデウソン戦も同じく判定負けだったが試合後にアンデウソンのドーピングが発覚してノーコンテストに。2011年10月のBJ・ペン戦以来、約10年勝ち星がない。

32歳から38歳までの実力的にピークの時期を丸々試合せずに過ごしたわけだが、影響がないわけがない。しかし弟のネイトも約3年のブランク明けで元王者のアンソニー・ペティスに快勝したわけだし、ニックももしかしたら、と思わせるものはある。喧嘩に持ち込めればわからない。

相手のローラーも喧嘩に持ち込むと強いタイプだが、現在4連敗中で、明らかに落ちている。4連敗にKO負けはなく、打たれ弱くなっているわけではないが、ベン・アスクレン戦を除くといずれも手数が相手の半分以下。判定負けは3試合ともフルマークでの負け。1Rで終わった試合を除くと、ここまで13R連続で落としていることになる。

試合に出ていなかったニックと、試合に出ていても負け続けていたローラー。ポイントはやはり、ニックのコンディションだが、ここに来て直前でニックの要望によりウェルター級からミドル級への契約体重変更が行われた。体重が落とせなかったということであり、これはニックにとって大きなマイナス材料。

ローラーKO勝ちと予想。

第1試合開始は26日7時から。速報します。