格闘技徒然草

MMAを中心とした格闘技情報&観戦ブログ

★Strikeforce「Fedor vs Henderson」結果

MMA PLANETのレポート。
http://mmaplanet.jp/archives/1553250.html
ESPNによるメインのハイライト。
http://espn.go.com/video/clip?id=6820361
ヒョードルTKO負けで3連敗。ヒョードル自身はストップのタイミングに納得がいっていなかったようだが、一瞬意識が飛んでいるように見えたので、ストップは妥当だろう。
パンチで倒して上になりチャンスを作りながらも、簡単に潜られてバックに回られたのも残念だったが、その後のアッパー一発で意識を飛ばされたのを見ると、やはり打たれ弱くなっているのではないかと思えた。
(※8/1詳細を追記)開始後、いきなり突っ込んだヒョードルが、ダンヘンのカウンターの左フックをもらう。その後もダンヘンのパンチの精度のほうが上だった。ヒョードルのパンチでクリーンヒットしたのは、終盤にダウンを奪った一発のみ。
ヒョードルはいつからあんなにスタンドでパンチを振り回すようになったんだろう。日本で戦っていた頃は、スタンドのパンチで試合を決めたのは、日本デビューの高田戦と、猪木祭りでの永田戦(※パンチをもらってうずくまった永田へのパウンドで決着)くらいで、パウンダーだったと思う。それに、基本的にストライカーと対戦した時は、無理に打ち合わずに組み付いてテイクダウンを狙っていた。
それが、アメリカ上陸後の試合は、全てスタンドのパンチで勝負を決めている(ティム・シルビア戦はパンチでダウンを奪ってパウンド→チョーク)。一発の威力はあっても、アルロフスキー相手には劣勢になる場面もあり、決してストライカー相手に打ち合えるレベルの打撃ではない。まあ今回は階級下のダンヘンが相手で、ヒット率で劣っても最終的にKO勝ちできるという計算もあったのかもしれないが。
中盤、ダンヘンがダブルアンダーフックで金網に押し付けると、まったく為す術なく膝をもらい続ける皇帝。太ももへの嫌がらせの膝で、深刻なダメージがあったわけではないが、脇を差し返すことも出来なかった。リングの試合なら島田が即座にブレイクをかけている場面かもしれないが……。途中、ダンヘンがテイクダウンを狙うと、金網を掴んでディフェンスしたのもいただけなかった。これは衰えというわけではなく、テイクダウンされそうになってついロープを掴むなどの動きは以前からあったが。しかし金網で戦うようになってもう2年もたつのに、スタンドレスリングの穴が埋まっているようには見えなかった。
そして最後の場面。ヒョードルのパンチがヒットして、ダンヘンがガードを固めたところを、パンチの連打で押し倒す。ダンヘンも勢いに押されてという感じで、ダメージで倒れたわけではない。しかしヒョードルにとっては願ってもいない展開。しかし、ここでも皇帝らしからぬ慌てた攻めを見せてしまう。ちゃんと上に乗らないままパウンドを落とし、潜ったダンヘンに簡単に脇をくぐられバックを奪われる。このあたりは、最近の技術をきっちりと身につけているダンヘンと、身につけていないヒョードルの差が出た。
そして、バックに回ったダンヘンの、脇の下からのアッパー一発が試合を決めた。パンチでぐらつくヒョードルというのも、PRIDEでの藤田戦くらいしか見ていない。打たれ弱くなったということなのだろうか。ヒョードルは試合数も多い方ではないし、前回のペザォン戦を除けば、それほど打たれた試合もないのだが、試合の積み重ねよりも、年齢的なものなのか。
形では逆転負けだが、試合の大半はダンヘンペースで、打撃・レスリング・グラウンドの全てで年上の階級下王者に劣っていた。ストップはもう少し遅くても良かったかもしれないが、個人的にはあそこで続行しても、さらに最後のパンチが入っていなかったとしても、ダンヘンが勝った可能性の方が高かったと思う。
引退については明言していなかったが、これでStrikeforceとの契約も終了だし、ズッファでの次戦はないだろう。階級下のダンヘンに負けたことで、階級を落としての復活というのも期待薄。ファイトマネーをディスカウントして、日本やロシアでの試合ならあるかもしれない。日本で幻とヘビー級トーナメント準決勝戦アリスターvsヒョードルが実現という可能性もゼロではないかもしれないが、今のヒョードルでは興味が沸かない。日本でやるなら、石井との闘魂伝承マッチあたりが妥当なのでは。
ヒョードルの凋落を差し引いても、ダンヘンの充実ぶりは良かった。ここに来て3試合連続KO勝ち。UFCではライトヘビー級だときついかもしれないが、ミドル級ならアンデウソン以外には勝ってしまいそう。全く衰えを感じさせないのがすごい。
また、タイロン・ウッドリーがポール・デイリーからテイクダウンを奪いって判定勝ち。デイリーも簡単にテイクダウンを奪われたわけではなかったが、最後にはエリートレスラーのタックルに抑えこまれた。UFC絶対王者GSPの最大の武器はスタンドレスリングで、その点で上回る相手との試合は、王座獲得以来まだない。とりあえずStrikeforce王者になって経験を積んで、GSP戦をドリームマッチにしてほしい。