RIZIN師走の超強者祭り:第1試合・芦澤竜誠 vs. ジョリー
すぐにグラップリングの展開に持ち込んだジョリーが腕十字で一本勝ち。芦澤はトップグラップラーが相手というわけでもないのにこの負け方では、RIZINではイロモノ枠でしか使い道がない。
その芦澤に勝ったジョリーの実力も不明。DEEPに出たとしてどれくらいの相手に勝てるのか?RIZINも潰すようなマッチメイクはしないだろうが、誰を当ててくるかで今後の期待感がわかりそう。
第2試合・雑賀“ヤン坊”達也 vs. “ブラックパンサー”ベイノア
両者被弾が多かったが、積極的に攻めたヤン坊が左ハイでKO勝ちしてRIZIN4戦目で初勝利。野村欠場でベイノアと対戦予定だったノジモフがタイトル戦に昇格→王者となったが、緊急出場のヤン坊も結果を出した。
ただ、ベイノアに勝ったとて、結局RIZINライト級で上の方の相手とやるのは厳しいという現実は変わらず。同じくらいのランクの宇佐美あたりとなら釣り合いそうだが、RIZINで組むべきカードなのかは微妙なところ。
第3試合・篠塚辰樹 vs. 冨澤大智
打撃のレベルに大きな差があり、ほぼ一方的な展開で篠塚がKO勝ち。冨澤もスタンドでいいところに組み付いていたが、そこからテイクダウンする能力がなかった。テイクダウンが取れるグラップラーが相手だと、前戦のように下になって何もできないのではという不安は払拭されず。
試合後のマイクで「来年4試合くらいやってヒロヤをぶっ飛ばす」とコメントしていたが、4戦目にヒロヤとやるとして、ヒロヤ以下の選手がRIZINに3人もいるのだろうか。MMAの実績があまりない選手をつれてきて勝っても意味がないと思うが。
第4試合・後藤丈治 vs. ホセ・トーレス
中盤くらいまでは後藤が打撃で押す場面があったが、後半はテイクダウンを取られる展開でトーレスが攻勢。明確なダメージがなく、アグレッシブにも差がなかったので、制した時間の長さでトーレスの勝ちだと思ったが、スプリットで後藤が勝利。
判定は微妙だったとはいえ、ようやく強豪外国人相手に結果を出した後藤。対戦をアピールしていた安藤が福田に負けて序列がワンランク下がったところなので、当てるにはちょうどいいタイミングでは。
トーレスは内容で勝っていたとしても、後藤相手に光を消す展開に終始したのでは、これ以上呼ぶ意味はあまりなさそう。トーレス自身にファイトマネーが減額されたとしても来るだけのモチベーションがあれば別だが。
第5試合・神龍誠 vs. ヒロヤ
神龍が組みでリードしながらも、決定的な場面は作れず。普通に勝っただけで、実力的にミスマッチな組み合わせだと見る者に思わせることもできなかった。勝ちを積み重ねていくしかない状況だが、当初大晦日のオファーがなく、ヒロヤに指名されてようやく出場できた状況では、RIZINからあまり評価されていると思えない。今後ATT所属になりどれだけ変わることが出来るか。元谷はATTに所属していても、試合の作戦は自分で考え、試合前に日本で一緒に練習している寒天に相談して方針を決めていたそうだが、試合に向けてのトレーニング内容からATTコーチに指導してもらえるくらいでなければ、所属する意味は薄いと思う。
第6試合・カルシャガ・ダウトベック vs. 久保優太
久保のアイポークによりダウトベックが続行不能となりノーコンテスト。序盤のテイクダウンを奪えるかどうかという攻防の段階で終わってしまった。久保が予想よりもかなり組みに対処できていたので、リマッチを組むより、ストライカーの多い日本人フェザー級ファイターとの対戦が見たい。
第7試合・秋元強真 vs. 新居すぐる
秋元が組ませずに打撃を打ち込んでKO勝ち。実力差があるのはわかっていたが、新居は急に出場が決まった19歳相手に見せ場を作ることもできず。
秋元が試合後のマイクで欠場した斎藤裕に「男じゃない」と言っていたが、試合前に思った「準備ができていない中でも出てくることを称賛する(転じて、そうしたオファーを断ることを非難する)風潮が強まりそう」という不安が的中。今後十数年戦い続けるであろう秋元と違い、これがキャリアで最後の試合になるかもしれないのだから、後悔しないようにしっかりした準備をした上で(自分も相手も)戦いたいと思うのは当然では。
第8試合・福田龍彌 vs. 安藤達也
両者ともに当たれば倒せる打撃を放っていき、福田が2RにKO勝ち。タイトルマッチで井上が勝っていたら当分再挑戦のチャンスがなかったところだが、サバテロが勝って試合後に指名もしてくれたことで、またタイトル戦線に浮上してきた。実現しても勝機は薄いと思うが。
第10試合・クレベル・コイケ vs. ヴガール・ケラモフ
両者ともに動きが良くなく、2Rに入ってからは失速。より失速しなかったクレベルが競り勝って判定勝ち。
ケラモフが勝っていればシェイドゥラエフのタイトルに挑戦する流れになっていたかもしれないが、負けたので11月に組まれていた松嶋戦の仕切り直しになるのが順当か。
クレベルはシェイドゥラエフ戦は秒殺KO負けだったが、クレベルが引き込んでグラウンドに持ち込んだ時にシェイドゥラエフがどう対処するかはまだ興味があるので見てみたいが、朝倉戦で敗れているだけに、タイトル再挑戦にはもう1試合実績を積む必要がありそう。
第11試合 女子スーパーアトム級タイトルマッチ・伊澤星花 vs. RENA
伊澤が序盤に意外と打撃に付き合ってことで、RENAがパンチでダウンを奪うチャンスを得る。だが、その後グラウンドになってからの実力差を見ると、ここが唯一の勝機で、勝負を掛けなかった時点でもうチャンスはなかったか。結果論ではあるが。
伊澤がダウンしたことで盛り上がったが、結局ダウン以外の内容は一方的。「女子格闘技はこれからが全盛期」とアピールしていたが、次の展開がもうない。RENAが勝っていれば、再戦を含めていろいろな展開が組んでいけるところだったが。3月に大島 vs. ケイトが組まれているが、パク・シウや須田萌里の試合がRIZINではなくJEWELSで組まれて、RIZINで組まれるのがケイトの試合というところがRIZIN女子の問題では。
第12試合 バンタム級タイトルマッチ・井上直樹 vs. ダニー・サバテロ
2Rに井上がバックを奪いコントロールする場面があるも、3Rにサバテロがパンチを振ってからのタックルからコントロールし続けて、アナコンダや肩固め、サッカーボールキックなどで攻めて判定勝ち。
ジャッジは割れたが、アグレッシブではサバテロ、マストではないのでイーブンにつけたとしても、ジェネラルシップでもサバテロ。井上に入ったジャッジは、ダメージもアグレッシブもつけることはないので、消去法でジェネラルシップということになるが、この内容で判定が割れるなら、やはり今の判定システムは無理がある(今回で終わりだが)。
サバテロは他のメジャー落ちした選手(ジョニー・ケース、ジョン・ドッドソン、スパイク・カーライルなど)と違い、真面目にRIZINで昇りつめようとしているところが好感が持てる。RIZINに出てくるメジャー落ち選手は、北米では打撃ルールだけやって、MMAのトレーニングも片手間程度にしかしていないのではと思われ、体重オーバーしたり、組みのしんどい展開になるとあっさり消耗する選手が多いが、サバテロはBellator時代と同じく最後まで動きが落ちない。バンタム級は、井上が勝っていたら次の挑戦者がいなくなるところだったので、階級が動いて良かったのでは。
第13試合 フライ級タイトルマッチ・扇久保博正 vs. 元谷友貴
打撃で予想よりも差があった。元谷はタックルも混ぜていったが、テイクダウンはなかなか奪えず、最後は劣勢でも打ち合いで何とかするしかなかったか。
王者になった扇久保だが、上位選手とはあらかた対戦済み。堀口が抜けたこともあり、フライ級はもう少し強豪外国人の駒が欲しいところ。
第14試合 ライト級タイトルマッチ・ホベルト・サトシ・ソウザ vs. イルホム・ノジモフ
絶対王者サトシがまさかの秒殺KO負け。交通事故かもしれないが、グラップラーである以上、事故に遭う可能性は常にある。そのチャンスを逃さなかったノジモフを称えたい。
同じ状況で再戦すればサトシが勝つ可能性の方が高いかもしれないが、時間を置いてのリマッチだと、同じ結果になるとは限らない。サトシは年齢的にも衰えが始まってもおかしくないし、ノジモフは今回の結果で自信を持つことになるだろう。いずれにしても、サトシがしばらく休みたいと言っているのでダイレクトリマッチはないかもしれない。野村の復帰に時間がかかるようだと、ノジモフの相手がいないが。フェザーに戻してのシェイドゥラエフ戦は、ノジモフが乗り気ではないし、あまり組む意味もなさそう。
第15試合 フェザー級タイトルマッチ・ラジャブアリ・シェイドゥラエフ vs. 朝倉未来
シェイドゥラエフがパウンドでKO勝ち。ストップは明らかに遅かった。榊原代表が試合後の談話で「タイトルマッチだから止めるのが遅くても仕方がない」と言っていたが、昨年9月のコレスニックとの防衛戦ではストップがかなり早めだったので、そういったレフェリングの方針があるわけではない。ストップの権限はレフェリーだけでなく、リングサイドのサブレフェリーにも与えられているにもかかわらず、両者とも止めようとしなかった。
シェイドゥラエフの圧勝はほとんどの人がそう予想していただろうし、特に驚きはない。ジャーマン連発は無駄に体力を消耗するだけで、あの展開を凌げる相手だったらどんな展開になったのだろうかと思う。
次期挑戦者はクレベルと、3月に予定されているコレスニック vs. 相本の勝者が戦って争うのが一番スッキリするが、それだと挑戦者決定戦が7月くらいになり、タイトル戦が9月になってしまうかもしれない。以前、木村柊也が2戦目のケラモフ戦で勝った場合は王座挑戦という話があったので、相本もコレスニックに勝ったらいきなり王座挑戦させるというマッチメイクもRIZINはやりそうな気がする。